スタイリスト3年目。ファッション誌+芸能の仕事で、うまく仕事を回せなくなって限界を感じた。
女優さんの映画の舞台挨拶に服を集められる時間が3時間しかない・・・ってこともあって、これはダメだと悟った。
ミクシィの掲示板を辿ってきた京都立命館大学のアリサと 大阪のテレビ番組の際に面接して一発採用。初見で頭の良さを感じるコミュニケーション能力!!当たりだった。
何で津野真吾のアシスタントに??に対して
アリサ「津野さんの顔です。なんかこの人ならやっていけるかなと思いました。私 女性のスタイリストのアシスタントは考えていないんです。女同士の戦いが嫌いで。」
不思議な感覚はあったが、うちに来てくれる人がいるんだ!と感動したものだ。
そして、尊敬するスタイリスト西ゆりこさんから、津野の所で修行させたい子がいると紹介を受けたのが斎藤君だった。
4月にアリサと斎藤君が入社して 一発目の仕事は榮倉奈々さんの主演ドラマの衣装合わせだった。
元々ファッション誌をバリバリやっていた榮倉さん着替えるスピードは尋常じゃない。
もちろん津野は男なので蚊帳の外、
アリサが「全然ついていけなくて慌てました」と話していたのが印象的だった。
それから数日後、テレビ局でAKBのメンバーとすれ違った。すると不思議な現象が起きる。
AKBの主要メンバー全員がアリサのことを知っている。大島優子さん、篠田真理子さんが
「アリサちゃん」こんなところで何やってんの?なんて言ってくる。津野慌てる。
後々、アリサにどういうこと?と聞くと
アリサ『私、学生時代AKBのオタクで 前田敦子さんを応援する会?の部長だったんですよ。
つまりAKBの日本一のファンです。』と言われた。偏っている。この子 極度に偏った子だ。
そう思った。
しかし、このような飛びぬけた人間は今の時代には あっている。
変にバランスを取ろうとする人間より何倍も面白い。
このオタク具合が功をなして、前田敦子さんの写真集をやる前の下調べに 雑誌キネマ旬報がアリサに取材にきたくらいだ。
まだアシスタントを採用したことがないスタイリストの後輩は 人生の経験としてアシスタントを雇ってみることをお薦めする。業務的に楽になる事は言うまでもないが、それ以上に守るものができるというか、なんというか。
アシスタントが沢山の仕事に恵まれるように、沢山の指名を取らないと!!
という使命感が生まれ、これが師匠として とてつもない活力となる。好循環のループだ。
斎藤君は途中で違うスタイリストの所へ 移動したが、アリサはそのまま3年後に独立まで漕ぎつけた。
思い返せばこの子の思い出は沢山ある、
●出勤時にこけて指の骨を折っても そのまま自転車で返却に行ったこと。
●返却に行かせたら、プレスと話し込んでて全然帰ってこなかったこと。
●セールで服を買ってあげたら、その場で着替えて喜んでくれたこと。
一人で業務をやっていたら体験することのない 沢山の学びと思い出を提供してくれた。
アリサ その節はお世話になりました。お互い別の現場ばかりで、顔を合わすのは夜中の打ち合わせくらいしかなかったけど とても頑張ってくれました。有難うございました。
頑張ったお礼にどこか好きなご飯おごると言ったら、
銀座の久兵衛(1人4万円)を選んだことは今でも恨んでいるが、
お店の前でハグしたら 泣き崩れたことは鮮明に心に残っている。
そして、独立後2週間で広瀬すずちゃんから指名を貰い その後 浜辺美波さんからも指名をとったことは、師として誇りであります!
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