「津野さんメンズの服のスタイリングも、やるんですか?」
PRESSの人からよく言われる言葉だ。
人の固定観念とは不思議なもので
メンズ服のPRESSに行くとメンズ中心のスタイリスト、
レディースのPRESSに行くとレディース中心のスタイリストと思われている。
確かにこの業界で、バランス良く男女をやる人は少ないかもしれないが、それにしても人は思い込みで判断する生き物だと思い知らされる。
元々、自分はメンズ99%の師匠に就いて、洋服を勉強していたので、
独立したての頃は「メンズ服のstylistとしてやっていくのだ。」と勝手に思っていた。
ところが、人の人生は予想出来ないもので、独立してみると女性の依頼の方が若干多く、それをこなしていくうちにレディースも得意になった。
独立直後は生活していくのに必死で、メンズとかレディースとか言ってられない。
「名ばかりのstylist」にならない為に、仕事なんて選んでられないし、「出来なくても出来る」と伝えていた。
実際、独立の数ヶ月後に当時の女性一流モデル
菜々緒さん、AKEMIさん達のプロデュースバッグのカタログのスタイリング依頼が来た。
「バリバリ現役の女性モデル9人かー、、、男しかスタイリングして来なかったのに、なんかめっちゃ怖いなぁ、、、。」と思いながらも、サラッとした顔で 受けていた。。
実際、内心はグラグラ。
勿論、女性のアシスタントなんていない、全部1人で対応しないといけない。
今にも吐きそうな心境で 心臓がバクバクしていたのを覚えている。
そうやって、1つ1つ勉強しながら、少しずつ少しずつステージをあげた。
「笑っていいとも!」の依頼が来た時のタモリさんも言っていたが、
『仕事は、いつも想定外のものばかり』がくるものだ。
これからstylistを目指す人は 可能ならば男女スタイリングしている師匠をオススメする。見習い時代に仕事を受けれる幅を広げておくと、後からとても楽だ。
レディースをやり始めた頃、「インナーでこんなに悩むものか!」というくらい悩んだし、
女性が男性をスタイリングする時に、
「サイズ感が分からないと、こんなにもダサくなるのか、、、」と驚く事だろう。
今まで20年片方の性別で生きてきた者が、
もう片方の性別のコーデを組む時
必ずドデカい壁にぶち当たる。
それをフリーランスになってから、体験するより、修行中に怒られながら学ぶ方が賢い。
更には、自分がメンズのスタイリングに向いてると思っていても、仕事を振る方は
「必ずしもそう思っていない。」事もある。
仕事は求められる方向に向かって流れていく方が楽に成功する。
つまり、【マーケットイン】の考え方だ。
(自分を求めてくれるマーケットに自分から入っていくという考え方)
これの逆が【プロダクトアウト】。
(自分はこの方向性で行くんだと、半ば自己中心的に 世に打ち出していく考え方)
今の世の中で、実際どちらの企業が成長しているかのDATAは既に出ている。
それは【マーケットイン】だ。
つまり「求められてる方に舵を切る企業」が圧倒的な成功を収めている。
例えば、スターバックスが新商品で、「レッドブルのようなエナジードリンク」を出したとしても売れないだろう。
そういう事だ。
仕事というものは自分では歩いて来ない。必ず人が持ってくる。
この「仕事を持ってくる人」が「貴方のことをどう思うか」で、貴方の仕事量は決まる。
ならば、男女幅広く間口を広げておく方が賢いといえるだろう。
※写真は
GENTLE MONSTERの青山店のオープン記念セレモニーでの記念写真。いけてる!
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