映画宣伝の仕事と、服屋が知るべき事情

プロフィール

映画館で公開される年間の映画本数は約1200本だ。(邦画650本、洋画550本のような感じ)
毎日に換算すると 1日3.3本公開されるような感覚だ。多い、、、。

そんな中 東宝、松竹は4年前から金曜に映画を公開し出した。
理由は
金曜夜の余暇を充実させる「プレミアムフライデーへの協力施策」で、土曜日に働く社員を減らすことによる「働き方改革の一環」という側面もあるようだ。

これに関しては大賛成だ.我々だって、リース返却のない土日は、可能なら休みたいと思っている。
(基本イベントは土日なので休めないが)

そして、映画宣伝部もそうだ。
彼等は 宣伝スタート〜公開まで、
めっっっちゃくちゃ忙しい毎日を送っている、ほぼ寝ない生活だ。
ある作品の宣伝担当は、忙し過ぎて
「一定期間、事務所さんとのやり取り以外の全てのstaffへの連絡を遮断した」と話していた。

我々stylistも確認したい事が返って来なくて、苦労はしたが、彼等の日常を見ていると「遮断されても仕方ないな」と思ったりする。
そうでもしないと、風呂に入る時間さえ無さそうなのだ。
1作品の公開でキャストが10名なんかいたりしたら、その方々の、事務所さんと
「何日の何時なら取材受けれるか?」とか
「取材の内容はこれでいいか?」とか
全て応答しないといけない。
人手が足りないのは言わずもがな。という事だ。

そんなこんなで
2018.4.13(金)公開の「名探偵コナン ゼロの執行人」を東宝が公開したのを皮切りに、新作公開日を「原則金曜日」に変更した。

大手2社が金曜目掛けて公開してくる。つまり、同じ日に競合の映画がバンバンぶつかってくるのだ。

当然、マスコミもどちらの映画に取材班を派遣するかの選択をギリギリまで迫られる。という背景があり、
舞台挨拶は、前夜まで何処のどんな媒体が取材に来るのか分からない状態となっている。
当日蓋を開けてみないと、来てるか来てないか分からない媒体さえある。

たまに、ブランドさんから
「舞台挨拶ではお貸ししますが、どんな取材媒体が来るか教えて下さい」と言われるのだが、教えたくても教えられない状態にある。

なぜ服屋はそれを聞くか、、、
それは、
「舞台挨拶では貸したいけど、それに付随する新聞ではメリットがないから貸したくない」と言った意向があるからだ。
服屋も色々ブランディングがあるのだろうが、そこは目をつぶって頂かないといけない部分ではある。

似たような事で
映画の取材日(複数の媒体が取材にくる丸1日取材day)に、洋服屋にお借りしたい媒体を伝えるのだが、

例えば
「ananでは貸したいけど、WEBメディアで貸したくない」とか、色々注文を受ける。これも
うちらstylistでは操作出来ないことだらけだ。

宣伝部からは「ananの後に取材a.b.cまではananの衣装でいきます。着替える時間は設けてません!
それが終わって、
テレビガイドの取材から2体目に着替えます。そこからは5媒体連続で撮影するので、着替え無しで!!」と映画の宣伝部から言われる。。。
既に決定事項だ。

これに対して、服屋からは
「ananしか貸したくないのですが」と言われる。
痛いほど理解は出来るが、stylistにはどうする事も出来ないので、
「それを言われても、、、」って感情になる。


【映画宣伝活動の全貌】の回のblogでも書いているが、
タレントさんは「無償」で1日に10媒体以上の仕事を受けている。
それに対して 我々下請けのstylistが、
「ここのブランドの服は、ananしか使えないから、着替える時間を作って」なんて口が裂けても言えないのだ。

更には、服の体数が増えれば増えるだけ
映画会社は我々にギャラをプラスしないといけない。
宣伝予算も限られてる中で、stylistが「着替えを増やす為の指示」は出来ないという事をわかって欲しい。

理解のあるブランドさんは、ananでクレジットを出して頂ければ、
「そこから連なる3媒体はクレジットなしで対応して下さい。」と言って下さったりする。
ほっとする、、、。

間に挟まれるstylistの苦悩は、こういう所から生まれたりする。

お互いの守るべきものがあるから、仕方のない事だとは思う。
しかし、こうして発信することで少しでも皆様が理解して頂けると嬉しいと思う。

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