CM撮影の全貌

プロフィール

総勢100名のstaffで構成された広告撮影だった。

30秒の為にコレだけ多くの人が集められるのだから、広告の中でもテレビCMは花形。

1回の撮影に総額1億円以上かかるものもある。

我々はその1部の【衣装】を受け持つのだから、重要なポジションだ。

今回は主役1名、メインキャスト4名のスタイリング。他にもエキストラの方が30名ほどいたが彼らは私服での出演となる。

まず、

3/29監督、制作、プロデューサー含め衣装のzoom打ち合わせ(衣装案提出の期限は4/8、撮影は4/14)大体このようなスケジュール感である。

メインの女優以外のキャストは 3/29には、まだ決まってない。

メイン女優は動画、静止画合わせてスーツ2体+小物と決まった。

すぐに東京中のスーツ屋を見て回った。当然、他のスケジュールをこなしながらのリサーチである。

その後、4名のキャストが日を追う毎に追加され、

衣装案提出の日程を迎えた。

提出された衣装案等を代理店が、広告主にプレゼンする日を【PPM】という。

これは大事な言葉だから、スタイリストを目指す学生は必ず覚えておくべきWordだ。

PPM・・・プリプロダクションミーティング

テレビCMなどの映像・動画制作の際、

企画・構成・脚本や絵コンテを完成・キャストやスタッフの決定・美術作成・全体のスケジューリング・ロケハンなどを行う撮影前の準備のこと。

この期限は全スタッフにとって絶対だ。ここを遅れて衣装案の提出はあってはならない。

スーツのスタイリングは難しい。サイズ感を間違えると途端にダサくなるし、人によって袖の長さ肩幅など、様々な部位が異なる。

今回もPPM後に即座にリフォーム会社にアポイントをとって、袖つめ、丈つめなどをお願いした。

街のリフォーム会社にお願いすると間に合わないから、いつもフリーランスの人にお願いしている。

今回はキャスト御本人のフィッティング時間は取れていないため、ぶっつけ本番だ。サイズ表はもらっているが、役者も頻繁にサイズ表更新するわけではないから、いざ本番になると「体が入らない!」なんて事もある。

役者さんは、本業で役によって体重の増減、髪の色の変化がある為、近況を聞いておかないと失敗する。いつも当日フィッティングするまでビクビクなのである。

ラグビーの日本代表の五郎丸さんが、1番グイグイ出ていた当時、複数社の広告を地方で一気に3本撮った時、3名の有名スタイリストが担当した。うち2名は服が入らなかったというから、怖すぎる。

今回の津野の案件は上手く行ったが、

男性俳優の静止画撮影で 当初予定のない「ネクタイをつけたい」なんて案も浮上してアタフタした。「ノーネクタイで撮影」と言われていても数本持って行かないといけないなぁ。。。と自分の準備不足を恥じた1日となった。

今後は予備の予備の予備まで持っていくように努めようと思う。

広告撮影の衣装の注意を語っておこう。

結果として広告主 主体の伝えたいメッセージを伝える事になるので、衣装がそれを邪魔するわけにはいかない。

つまり、視聴者が見やすいシンプルクリーンな洋服が1番だ。デザイン性や柄が押さえられていて、キャラクターやブランドロゴがプリントされていないものを選ぶべきである。

色が強いものも基本なしだ。更に靴は

明らかにNIKEやadidasとわかるものは避けないといけない。他社の広告をする必要はないからだ。

ファッション誌メインのスタイリストからすると、つまらないコーディネートになってしまうが、その分ギャラが良いのだから背に腹はかえられない。

大概のスタイリスト、ヘアメイク、カメラマンは広告の仕事を取りたくて仕方ないのだ。

お金のPOWERは絶大である。

今回の控え室には.高級なお菓子 コーヒー 昼は炊き出しの野外ランチ。しまいには撮影終わりに特大の、ケーキがでた。50人前くらいのケーキだった。

今や予算のある媒体は数える程しか無くなったが、余裕のある媒体は流石のおもてなしである。

予算があるという事は、海外で撮影という案も上がるわけだ。その昔、MUSEEプラチナムの撮影でサイパンに行った時はアシスタントまで、前のりさせて頂いて、最高の撮影だった。

スケールがでかい事はいい事ばかりである。

我々は衣装屋だ 服さえ事前に決まってしまえば当日技術を振るう機会も少ない。メイクさんカメラマンさんと比べて、撮影当日は幾分伸び伸びさせて頂いている。

その分、服を揃えるまでは苦労するので短気集中で頑張っていこう。

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