ズバリ、共演者との色味調整だ。
視聴者の皆様はあまり意識していないかもしれないが、1つの番組のキャストは、そこそこ色味がバラバラになっていないだろうか。 舞台裏ではstylist同士の様々な攻防戦があるので説明しよう。
色味の調整に関しては、
「気にするタイプのタレント&事務所」と
「気にしないタイプのタレント&事務所」がいる。
stylistはまず、どういうタイプの出演者かを見極める必要がある。
周りの色味を気にするタレントさんは、肌感では全体の8割くらいだ。
服集めに関して、
我々プロも時間的な問題や、貸出環境によっては可愛い服が十分に集まらない事もある。
そういったタイミングで、
1番可愛い服の色が他共演者の色被りで潰され、予備がない場合、仕事のリピートにダイレクトに関わってくるから大問題だ。
このように
1押しのコーディネートを進めたいstylistにとっては、テレビ番組の色味調整は だいぶ足カセとなる。
本音は全タレントさんに、
「共演者の色を気にして欲しくない。」
しかし、そうもいかないのが現状だ。
実際に着たい色味が潰されまくった結果、着たい服が無くなった。という事もあり、メイク中に探しに行った事もある。
ちなみに、このような状態の時にstylistを付けないタレントさんは有利だ。(stylistを付ける付けないは事務所側の自由)タレントさん本人が、着る服を絞って持ってこられるので、「変更しようとしても、変えがない!」なんて事もよくある。。。そうすると必然的にstylistを付けたタレントさんが、持参した予備の服に切り替えないといけない
服選びの優先権というものは、業界歴が長い人にある。つまり、MCや大御所芸能人から色を決めていく。
新人であればあるほど、各共演者の控室に色味の確認をしにいき、結果として先輩方と被らない色を着るようにしている。
新人を担当する場合は、多めに服を持っていかないといけないので 洋服集めの準備の時間が増大する可能性も高い。
弊社はいつも予備を多く持っていくし、車移動の為、量に関してはあまり気にしていないが、電車移動していて量をもっていけないstylistさんは大変だろう。
また、ドラマの宣伝、映画の宣伝で2人、3人同じ番組に出る際は、基本的には主役の方の色味を伺ってから番手順に色味を確定していく。
ただし、主役が新人で2番手の方が芸能界の重鎮のような方だと、そうはいかない事は言わずもがなである。
その瞬間その瞬間に臨機応変に対応しないといけない。
結果として、現場にある程度の予備を持ち込まないと、何かあった時に逃げられない。事前の準備が全てを決めるのである。
昔、「さんま御殿」の収録で「宝塚特集」があり、全員宝塚出身の女優さんだった。ご存知の通り宝塚は上下関係を非常に重んじる団体であることから、衣装被り合戦が激化したのを覚えている。
女優さんからは「絶対に先輩とは被れない!」と念を押された。
そもそも、服の色というのは偏りがあり、世で売れる色ほど「量の比重」が大きい。
具体的には、男女ともに
モノトーンがNo.1で、次に女はベージュ、茶系、男はブルー系だ。
女優のstylistは男が良く着る黒、ネイビー、グレーを避けた色味から衣装選びをスタートする事になる。
つまり、色の効いた服だ。
しかし、色の服は洋服全体からすると、少な目な量に位置付けられる。冬場なんて特にそうだ。ウチ以外にも、沢山のstylistが色を中心に借りて行かれるので、探せど探せど
「映える色が集まらない」という事も多々あるのだ。
何も考えず自由に服を選べたら、それはそれは幸せであろうが、そうとも行かないのが、テレビ番組の難しいところなのかもしれない。
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