「暇と孤独」は人にとって最も悪な存在である。若いうちはまだ良い、バイトをしようと思えば、それなりに役割を与えられて暇は無くなるし、マッチングサイトで簡単に人とも出会え、仲間は元気で若いから意欲的に集まれる。
しかし、歳をとってから「暇と孤独」だと、働けるところも少なければ、体力も昔ほどは無い為 意欲的動けない。
更に昔からの友達は、家族だったり職場だったりで其々のコミュニティを確立しており、誘っても時間がとれない。困った物である。
ウチのアシスタントは、スタイリストの中でも極端に休みがない。その反動で、独立直後は急にスケジュールが空き「暇と孤独」に襲われる。
初めの10日くらいは、自由を謳歌出来るがそれも飽きてくる。そのうちバイトで生活費を稼ぎながら仕事を待つ様になる。そして、徐々に仕事を増やしていき、「暇と孤独」から解放される。
コレがスタイリストアシスタントが通る王道のルートだ。
修行期間しっかり働き抜いたアシスタントはまだ良い。アシスタント時代に繋がった沢山の関係者に営業をかけれるし、チャンスもそれなりに来る。しかし、中途半端な辞め方をして 大義もないまま、社会人初めの3年をサボってしまった人は大変である。
社会人初めの3年は、その人の「仕事人生そのものを決めてしまう」。それくらい初めの3年は大事なのだ。

津野は、働く環境整備も出来ていない時代の会社員(マネージャー)だったので、寝る時間以外は全ての時間を仕事に投入できた。
その後のアシスタント時代も、3年半仕事にフルベットだ。まじで友達は減った。
しかし、その合計6年が過酷だった事で、「社会とはこういうものだ!」という法則を学んだ。
「こういうもの」とは具体的に、
・どの会社に言っても合わない人間はいる
・会社に貢献したり、利益をもたらさない人間に未来はないし必要ない。
・何事も自分の思い通りに行く事はない
・決定権を持ちたければ、成り上がる以外ない
この辺り。
津野は自慢だが、大抵の人と上手くやれる。それでも上記のように思うのだ。
少なからず今残っているアシスタントは、社会は上記の様なものだと分かっている。そう思う理由は、
・何度送っても衣装案が通らないとか、
・撮影直前になって、衣装イメージがひっくり返って慌てて集め直すとか
・取引先は、土日でも衣装は集めれるものだと思って、金曜の夜に月曜撮影の衣装案が来るとか
日常茶飯事だからだ。
思い通りにならない環境で、どれだけ柔軟に対応し成功へ導くか、それが社会人だ。
あの人とは合わない。上司が理不尽で、納得いかない。その様なことを言う人ばかりになると、日本で働く人は居なくなるだろう。
思い通りにならない現実を、苦笑いで交わし、上司に怒られた内容を自虐ネタにして、他人の笑い話にする。
そのくらい、ストレスに対して強くなることを 学生時代から身に付けておく事が大事なのかもしれない。

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