集め辛い服と、集めやすい服がある。単純に市場に出回っている量が多ければ多いほど、集めやすい。
集めやすい順に番号を付けるとこうなる。
①世間の人の普段着、スーツ➡️
②服に興味がある人の普段着➡️
③体型が小さい人、大きい人の普段着➡️
④スポーツウエア➡️
⑤ハイセンスな人の普段着➡️
⑥モードなドレス、スーツ➡️
⑦着ぐるみ、王様の服、大昔の貴族の服などの特殊衣装
この様に下に行けば行くほど、市場に数はなくなり難易度は上がる。そして、我々スタイリストの仕事は
⑤〜⑦となる事が多い。
理由は簡単、スターの着る服だからだ。スターとは、ありきたりな人間とは違う人間を意味する。埋もれてはいけないわけだ。当然着る服も普通ではいけない。少し変わってないと目に留まらない。画面から浮き出て来ない。
例えば、「貴方の家の隣に沢尻エリカさんが引っ越してきたら、どう思う?」ちょっと構えるのでは無かろうか、、、それがスターである。

この集めやすい服ランキングの中で、最も集め辛い。特殊衣装にこだわるのが、アーティストだ。
弊社も今現在、服を作っているが それは3種類の着物を解体して、令和風に動きやすくする服。そんなの売ってないから作るしかない。という事で一点物である。
ここまで特殊衣装だと、作る以外の選択肢は無いから楽。
そうではなく⑥あたりで.こだわった案が来るとスタイリストの可処分時間は大いに削られる。更にコレがテレビで3万円の仕事だと、衣装費がかけれず ほぼ無理ゲーとなる。
結果として、探すのに1週間かかるのに、3万円しか貰えなかったりする。
楽をしたけりゃ、先に断れば良い。しかし、「俺は集めれる」と見通して取り掛かったは良いが途中から、クライアントがこだわりだして、アレでも無いコレでも無いと言われ、消耗していく事も日時茶飯事だ。コレが大変辛い。
クライアントはイメージを選定する方法として、ネット検索によって、過去のコレクションから、資料を持って来られる方がほとんど。その為、現状 世の中にほとんど出回ってない服を求めてくる。
津野はいつも、
「その感じの服、今は流行ってないから、物がないんすよね、、、」
と絶望している。
該当の衣装がありそうなブランドのアイデアは出すが、「頭の中の引き出しは、早々に出し切ってしまって、撮影までに新規を探しまくる」という事態がおきるから、大慌てである。
更に高額なコレクション服をイメージで出されても、「この少ない予算では勝てない、、、」と悩む事もある。
服集めが困難な媒体に集中出来れば 訳ないが、弊社は大体1日に3本撮影があるので、他の集め物の時間が削られるのがヤバい!!となったりする訳だ。

どの仕事にも大変はつきもの、その中でもスタイリストの大変は
①服が集まる見込みがない時
②何を持って行っても文句を言われる時
この二つである。
働く時間が長い事や、作業が多い事は気にならない。1番頭を抱えるのは「お客様の期待に応えられない時」である。
常に80点を出し続けた師匠は、やはりストイックだったな、、、と振り返る今日この頃である。

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