広告の撮影だった。
「津野さん、いつも細かい仕事ばかり受けてもらってるから、今回の広告は津野さんにって社長に伝えといたから。」
マネージャーの方に そう言われて受けたお仕事だった。
仕事をし、会社を経営して行くには
金額は勿論大事。
しかし、どんなに細かい仕事でも 頼りにされ、お願いされると嬉しいモノで、稼働させて頂ける事に感謝している。
これは14年経っても変わらない感情だ。
今回の芸能プロダクションには、もう10年近くお世話になっている。
これだけ長い期間お世話になると、もはやどんなお仕事でも受けてしまう。
stylistとして、生きて来られたのは、このような会社が何社かあったからだ。
感謝!感謝!!
撮影中マネージャーさんが、昨今のテレビタレントのギャラが安くなったと嘆いておられた。
20年前はバラエティのゲスト「1本10万からスタート」というザックリした大盤振る舞いな感じだったが、
今や1バラエティ5万、あるいは3万と言われることもあるようだ。
テレビ1本が3万となってしまったら、我々裏方と同じ額になる。
歩合制のタレントだったら、そこから7(自分)対3(事務所)あるいは6対4で按分となるため。
1本のバラエティで2万しか稼げなくなる。。。
これは大変な事だ。
限られた売れっ子芸能人でない限り、
月に数回しか仕事が入らない。するとバイトしないと食いっぱぐれる事になる。。。
テレビ離れのアオリがココまで届く様になってしまった。残念だが、仕方ない、、、🥲
そうなると、我々スタイリスト同様に
芸能人や芸能事務所が狙っているのは、広告だ。広告が欲しくてたまらない。
だから、事務所は ギャラの安いNHKにガンガンだし、朝のドラマや大河ドラマを取りに行く。
なぜそこかというと、企業の社長さん含め重役が、よく見てるからだ。
そこで印象に残った俳優を自社の看板として迎えるという流れ。
広告さえ入れば、しばらくは悠々自適な生活が待っている。
ドラマの主役級で1年契約で大体1本2000万円〜4000万円といったところ
(稼働は4日。内訳、撮影は年に2日、イベント2日)
例えば、
3000万だとしてそれを自分7割:事務所3割でやったとして、2100万円4日の稼働で入ってくるわけだ.半端ない、、、。売れっ子芸能人は少ない稼働で、それだけ貰っている。
驚くのは、まだ早い。
津野は企業と俳優を繋ぐパイプ役(キャスティング)をした事もある。その時に上々企業の社長に
「3000万円払って下さい!」と伝えると、
「やっす!!そんなもんでいいの?」と言われた。。。
上場企業からすると、屁でもないようだ。
これには 更にぶったまげた。
我々には知らない世界が、まだまだ沢山ある。
しかし、これは極一部の売れっ子芸能人の話、大部分の芸能人は企業の大きい広告なんて夢のまた夢、小さい仕事を連結して、生きていくのに必死だ。
テレビが大好きだった津野は、「画面の向こうには芸能人という、とんでもないスーパースターが沢山いる。」
「そのスター達は、皆がリッチな生活をしている」と、殿上人のように扱っていた。
しかし、実際こちら側に来ると、スタイリストもタレントも同じように、「仕事を振る人に委ねられた不安定な生活」をしている。
レギュラー番組がなくなると、生活がグラグラになり、雑誌が廃刊すると仕事が消し飛び、次から次にライバルは現れる。
なかなかシビアな世界である。
だから、ある程度の知名度とレギュラー仕事を持ったら、それを元手に仕事を作る側のビジネスにも踏み出さないといけないと思う。
しかし、「仕事の受け手側」だった我々は、「仕事を提供する側」で 上手くやって行けるわけではない。
マーケティングや広告を学んでいるようで、学んでこなかったため必ず苦戦する。
津野もチュロスで苦戦し、洋服ブランドで苦戦し、衣装レンタル業で苦戦している。
「1つ成功した人は何でも成功する」なんて言われるが、あんなの嘘だ。
秋本康さんだって何度もアイドルで失敗してる。。。ピカソだって、ゲルニカに行き着くまで、普通の画家の2倍絵を描いた。
成功者が唯一持っているのは、諦めが悪いことくらいだ。この「諦めの悪さ」でどれかの事業が当たればラッキー。
その1発が決まる事を狙って、
今日も広告を打ったり、頭下げたり、投資したりしている。
日々前進して必死に生きていこう!!
いつまでも新人の気持ちで粘り強く生きていこうと思う。今年は1発当たるぞ!!
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