「現場は就かなくて良いので、衣装渡しでお願いします。」このような依頼は年々増えている。何故か?経費削減である。
人が動けば動くだけ人件費がかかる。どの業界も人件費の占める割合は大きい。ここが削減できれば、発注元は儲かるわけだ。
スーパーのレジや、ガソリンスタンドもお伺いセルフになった。企業は、どうにかして人件費を削減出来ないか、あの手この手で試行錯誤している。
そもそもスタイリストの仕事は、事前の準備がほぼ90% 服さえあれば撮影は事なきを得る。
服のヨレを直したり、アイロンのために現場にスタイリストが居た方が楽だろうが、視聴者的には「シワがよってるから、、、」なんて気にする人なんていない。
よって、バラエティ収録では一度タレントさんが収録にでたら、ひたすら待つのもスタイリストの仕事となっている。
スタイリストの現場帯同は事務所の人や、番組サイド的には、問題が起こった時の保険みたいなもので、実際に不遇の事態が起こることは滅多にない。
弊社でも現場が被りすぎてどうにもならない時は、「すみませんが、人手不足で撮影回ったら抜けても良いですか?衣装の回収には向かいますので」と事前にマネージャーさんに申請する事もある。

衣装渡しが増えたお陰で、海外や地方に行ける機会は減った。地方や海外に行きたくてスタイリストになったのに、なかなか思う様にはいかないもんだ。
ただお金を稼ぎたい人は、衣装渡しでも良いだろう。行かなくてもギャラは同じだけ貰えるのだから。しかし、「お金」と「思い出」を同時に獲得したい人にとっては残念な事である。
津野は同時に獲得したい派なので、地方まで出向きたいが なにぶん男なので、女の子の撮影には呼ばれない。(いても着替えさせられない為、使い物にならないから、、、)アシスタントを行かす事になるケースが多い。
女性のスタイリストは、男女いけて羨ましいと日々思っている。
スタイリストデビュー当時は、撮影前後の準備の時間が取られないヘアメイクさんを羨ましく思ったものだ。

予算がありスタイリストを連れていける媒体は、今や2割程度いや、1割かもしれない。1990年代のバブル期のスタイリストさんは、地方のテレビのロケ撮影で豪遊していたらしいが、そんな時代も35年前。
海外や地方にいける機会が減った今、予算のある広告撮影に限っては、キラキラして見える。
予算に限らず、地方は撮影を完結するまで現場に入れるから、最高である。
都内で撮影所から撮影所を行ったり来たりし、現場毎の空気に触れる事も好きではあるが、今や最初から最後まで撮影に立ち会う機会は、ほぼ無くなってしまった。
1つの撮影に最後まで立ち会ってしまうと、他撮影やリースに全く行けなくなってしまうからだ。
撮影の合間で、ヘアメイクさんマネージャーさんとコミュニケーションする事が好きだっただけに、少し悲しさもある。
独立当時のように何処までもタレントさんに寄り添って、現場を堪能する生活もなかなか良いものだ。
関係者の皆様、どうか津野を外の世界に連れて行って下さい。素敵なご連絡お待ちしております!!
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