先日ベルエポックのヘアメイク科で講義を行った際に「個性」に関する質問を沢山頂いた。有難いことである!!
①「個性」を発揮した作品をSNS等で 世に届け続ければ、何処かで誰かが見てくれて仕事に発展しないか?
②自分をメイクする時。「個性的」な強いメイクが好き。なので、そのまま強気メイクで現場に行きたいが、辞めた方が良いか?
③先方に合わせてばかりの仕事は、操り人形のようで辛い。
などなど。若者ならではの「強気な心意気」に微笑ましく思う。この3つの質問には共通する点がある。それは、「矢印が自分に向いている」という事。
心の声は下記である。
「自分の個性を全面に出す事で、好きを仕事にしていきたい。」
非常に悪い言い方をすれば、「独りよがり」「自分勝手」である。
強気を表にする事は自由だが、それを相手に強要して「仕事」になるだろうか。。。

仕事というのは、自分以外の誰かの為になって初めて「仕事」になる。お金を貰える。
つまり、「矢印は相手に向けないといけない」。
そして、それを直向きに続けると、他人から頼りにされる。すると、更に仕事が好きになる。
というサイクルを繰り返すものである。
「誰かの役に立って初めて仕事」だという事。そこを理解しないといけない。
下記はお客様に対して、強気な相手の例である。
●貴方が洋服を買いに行く。店員さんから「お客様には絶対この服が良いですよ。」と言われて、[オススメされた好きでもない物]を喜んで買うだろうか、その店をリピートするだろうか。
●松屋にカレーを食べに行ったのに、店員さんから「今回の牛肉は油が乗ってて美味いから、牛丼にしなよ。」と言われて『有難うございます。食べるつもりは無かったけど 牛丼に変更します。」となるだろうか。
正直申し上げると、両方とも余計なお世話である。
これを言われると、『それはない!』と瞬時に分かるのに、『自分のメイク』となった瞬間に、上記の事が頭からすっぽり抜け落ち、傲慢に自分のメイクで仕事をしようとする。
不思議なものである。
貴方の個性的なメイクは、求められて居ない可能性が高いわけだ。

ウチの中でも似た様なケースはある、アシスタントにまずコーディネートを組ませてみる。完成したものをチェックした際に、どう考えてもこれは、「津野真吾の作品じゃないテイストを提出しているな、、、、」と思った瞬間に、
『この子はまだ仕事というものを分かっていないな、、、』と判断する。
相手の要望や、好きなテイストに合わせてこそ仕事である。相手の役に立ってこそ仕事である。相手の時間を作ってこそ仕事である。
我々に仕事をくれる相手は、有名大学出身の成績優秀者である。その人が自分を選んでくれるには、何をすれば良いか。。。その答えは個性を全面に押し付ける事では無い。
仕事相手をしっかり見て、求める物を的確に提出できる先読み力が大事になる。
上記のように、
世の中には、相手(マーケット)に合わせて行動する【マーケットイン】の考え方と、自分の作品(プロダクト)を思うがままに市場にだす【プロダクトアウト】の考え方がある。
「マーケットインが断然求められる事」は分かるだろう。
・求められる。
・選ばれる。
・売れっ子になる
とは、そういう事である。
マーケットインを沢山沢山 ✨星の数ほどやれば、プロダクトアウト出来る作品も、パラパラと出てくる。
9対1の比率だが、地道にマーケットインの仕事をしていれば、次第に、オファーが渋滞し始め、仕事を選べるようになる。
選べるようになった時に初めて、プロダクトアウト出来る仕事を選べば、「自分勝手な仕事」も出来るようになる。
仕事はお客様が持ってくる。お客様が好きな商品、お客様が好きなビジュアルに寄せてこそ 出来るビジネスマンであり、売れっ子である。この事実を大人は、若い世代に教えて行かないといけない。
やりたくない事をやるから、スタートの3年間は大変なのだ。。。
人生には、必ず泥水を吸う期間がある。その泥水も1か月2か月吸っていると慣れてくる。その時に初めて「仕事とは何か」を理解するのだと思う。
若者よ踏ん張れ。踏ん張って今を乗り越えて欲しい💫

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