来週の撮影使う「ピンクのニット買おうかな?」アシスタントにそう伝えたら、「まだ時間があるので、無料リースでいけないかリサーチする時間を下さい。」と言われた。
これは、言えそうで言えない言葉だ。なぜなら、上が買うという選択をする事で、部下はリース先を探す手間が省けて楽を出来るからだ。
それを逆行して 探す苦難を選択する事を普通は出来ない。大した者である。
2年前、紅白歌合戦のゲストの仕事で服集めをした。12月15日に依頼がきて10日程準備期間があった。
この大きな仕事に対して、1人のアシスタントが全精力をかけて取り組んだ。
これ以上かけれない程、洋服屋に電話し、それ以外にも新生デザイナーズブランドにも声をかけた。
元々仕事は早い子だったので、凄い勢いでリサーチしていた。
しかし、世界のメゾンブランドは司会者の方に貸すから貸せないとか、ゲストの〇〇さんに貸すから貸せないとかで、なかなか都合がつかず、納得いくモノ集めが出来なかった。
マネージャーさんは、仕事依頼の連絡をそこそこ早目にしてくれたと思う。しかし、もっと早く依頼が来た司会者のスタイリストが良いブランドをほぼ押さえてしまった。
ブランドとしては、ゲストよりも司会者に貸したい。しかも、メゾンブランドは借りたら、ほぼ使ってくれると思っているので、進んで貸す。
結果として、津野から見てもアシスタントから見ても納得いくモノ集めにならなかった。
女優さんにはフィッティング時間を設けて貰ったので、集めたものを着せてみた。しかし、予想は大当たりで
本人・マネージャーさんは納得せず、再収集となった。
アシスタントにとって紅白歌合戦は、小さい頃から夢に見た大きな舞台だったのだろう。
そこで、理想の服が集まらなかった事に納得が行かなかったようだ。
帰りの車中、ただ一言「悔しいです、、、。」と言ってシクシク泣いていた😢
本当に頑張っていたから声をかけれなかったし、不満を言う事も無かった。
ただでさえ後輩達が半人前の中、他案件の仕事もこなしながら、紅白にかけており「この子倒れるんじゃないかな?」と思える程 頑張っていたからだ。
結果2回目のフィッティング時間を取って頂くこととなり、そこで決まった。1度目である程度方向性を固めたので、2回目はすんなりいった。
「こんなもんで良いや」と後1割の仕事を詰めずに終わる人が大半の中、燃え尽きるまで頑張れる人もいる。
どちらにしろ撮影は次々に終わっていく。
何が違うと言えば、身内スタッフからの印象くらいのものなのかもしれない。
それだけと言われればそれだけ。でも、それが全てだと言われれば それが全てだ。
何はともあれ、人生誰と生きたか、誰と本気で関わったかしか残らない。
それ以外の事は忘れてしまう。
もう7人も巣立っていき、辞めた人は30人いる。。。沢山の仲間が通り過ぎていった。
月日が経って思い返した時、
・彼女はよく覚えている。最後の最後まで頑張る人だった。とか、
・彼女はそつなく業務をこなすけど、仕事に対する執着に欠ける人だったとか。
・彼女はいつも嘘や言い訳をいって、業務に向き合わなかったとか。
様々ではあるが
あの時代を共に生きたな、、、良く頑張ってたな、、、と思える人の数が
今後も増え続けてくれると、有難いと思う今日この頃。
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