CMのzoom会議が行われた。
【衣装発注】という名前で行われるこの会議には、監督、アートディレクター、制作が勢揃いする。
大体この会議を終えて1週間〜2週間で衣装案提出となる。
この会議がなんともまぁお粗末な事が多々ある。
有能な監督、アートディレクターが集う会議は10分程度で終わるのに、80%〜90%の会議は30分かかる。
内容は同じだ。
さて、この2者は何が異なるのだろう。
それは、「分かりやすい」か「丁寧か」の違いだ。
「分かりやすい会議」は10分、「丁寧な会議」は30分以上かかる。
忙しぶって申し訳ないが、この20分の差でリース1件回れる。と考えると弊社としては、重大な差分である。
弊社は、アシスタントも出れる人は全員会議に出るので、当然長い会議にはウンザリしている。
先日も会議終わりにアシスタントが
「津野さん今回の会議の初めの20分いらなかったですね。」と言ってきた。
社会人として、それなりのポジションにまで行った人達に対して、ついこの前まで、学生だった子達が駄目のレッテルを貼るわけだ。
なかなか、えげつない事である。
では、この2者は何が違うのだろう。
「丁寧な会議」は大体こうだ。
・主要メンバーの自己紹介から入り→
・企画の説明→
・コンテを初めから最後まで読んでくれて→
・衣装発注トーク→
・質問を受け付けて.提出期限
を決めたら終わり。
ココで要らないものはまず 「全員の自己紹介」だ。
それは何故か、2分後には忘れているからだ。
衣装が何になるか気になっている所に人の名前まで覚えていられない。
次に 企画説明はザックリでいい。詳しい所までしっかり説明されても覚えられない。
そして、コンテは要約して欲しいし、事前に資料をくれたら読んでおく。
そもそも会議とは、議論する場ではなく各々が持ってきたアイデアを共有する場だ。
事前の資料読みは各自 家でやってくるものである。
また、要所要所で横文字のビジネス用語を入れてくるところも分かり辛い🥲
アグリー、アライアンス、イニシアチブ、キュレーション、サマリーとかがそうだ。
格好良いビジネスマンを演じたいとしか思えない。スタイリスト、ヘアメイクはそんな言葉使わない。
誰もが分かる言葉で進めるのが頭の良いビジネスマンだ。
「分かりやすい会議」こうだ。
(実際にあった、アクセサリーの打ち合わせより)
監督の●●です。今回の企画は、●●です。
コンテは読まれてますか?質問がなければ、集めて欲しい物を今から3つ伝えます。
1つ目、、、2つ目、、、3つ目、、、質問なければ、次はメイクさん。
服がこのような感じなので、髪はこう考えていますが、ご意見を賜りたい。どうでしょうか?
(メイクさんの返答を受けて)
短い収集期間で申し訳ないが、1週間で集めて下さい。都度質問があれば、いつでも答えますのでお気軽に。ではっ!!!
津野と当時のアシスタントの由実は、この会議に感動して盛り上がった。
撮影日のご挨拶の時に、監督を褒め称えた。
「過去最高の会議でした。有難うございます。」と。
なんて頭の良い人だろう。全ての画が頭に入っていて、明確。言いたい事を言った上で、我々の意見は最大限聞いてくれた。
メイクさんも凄い会議だったなぁと言っていた。
今だにこの会議を超える会議には出くわしていない。
日本人の良くて悪い所が丁寧だ。
丁寧が美徳とされているのは、疑問に感じる。丁寧は最低限でいい、まずは内容だろう。
皆忙しいのだから、時間が全て。
例えば、撮影は押せば全員キレるし、巻けば全員喜ぶ。つまり、社会人は「丁寧」よりも「時間」に重きをおいて生きている。
上記の点より、弊社の掟は
出来るだけ「短い時間で分かりやすく伝達する」事を義務化している。文章もさることながら、口頭でもそうだ。
文章に関しては長くなればなるほど、人の脳みそに響かない。
口頭に関しては、発言者が内容の1〜10まで全て把握してないと要約して伝えられない。
いずれにしても、いかに短い時間で内容を伝え切るかが、ビジネスマンに絶対必要な要素だ。
雑談にしてもそう、内容が薄くタダ話が長いだけの人の周りに人は集まらない。
上司から「結局、何が言いたいの?」、「結論から言って」と言われる人は、一度完璧に整理してから発言しないといけない。
短時間で報告、伝達出来るようになると
あの人は頭が良いと言われる。
頭が良い人とは、
言語化すると「相手の気持ちがわかる人」。
上司が何を知りたいかを予め予想し、報告できる。
この頭が良いかどうかは、他者が決める。
他者から仕事ができると思われれば、人が集まる。
短時間で、ズバッと伝えるだけの能力が
回り回って人が集まる事に直結する。
これは見過ごせない重大なスキルである。
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