38歳のカメラマンと話した。
津野
「A雑誌は今もやってますか?」
カメラマン
『1企画だけですね。この企画の指名が無くなると、この雑誌の仕事はなくなります。』
津野
「5年前と比べてA雑誌のカメラマンは、ほとんど変わりましたよねー」
カメラマン
『編集者もほとんど入れ替わっているし、仕方ないでしょう』
A雑誌は退職率が高い。すると、編集者の入れ替わりも多く、編集者の好きなスタッフで固められる為、我々も仕事がドンドン入れ替わる。
中には編集長に気に入られて、10年同じ雑誌をやり続ける人もいるが、稀である。
A雑誌以外でも仕事発注者の退職は、よく耳にする出来事だ。現代は転職・副業の時代と言われているため、入れ替わりが激しい。
本の編集という、令和時代には運営が厳しい書籍媒体の人は、業界の衰退と共に転職は常に頭の中にある状態だ。
芸能界のタレント・マネージャーもそう。相変わらず、大手芸能プロダクションの力は強いが、タレント・マネージャー離れが頻繁に行われている。
離れたタレントが個人事務所をドンドン作っているが、生き残りが厳しい状態。
大手プロダクション出身で、元々知名度があるタレントさんはまだしも、知名度がない中で飛び出したタレントは、相変わらず苦しい戦いを強いられている。
人がドンドン散り散りになると言う事は、スタイリストの仕事も散り散りになると言う事だ。
3年お世話になったマネージャー、5年お世話になった雑誌、から卒業していく事も日常茶飯事。
芸能に関しては、マネージャーの移動もあるが、タレントの気変わりで、スタイリストを変える事も日常茶飯事。
つい先日まで、担当させて頂いたタレントさんからお呼びがかからなくなる。
その荒波の中、自分の船を前へ前へ進めて行かなければならない。
これは当然っちゃー当然のこと。
毎日毎日、吉野家の牛丼が食べたいと言う人がいないように、色んなスタイリストを試したいと思うのが人間のサガ。
タレントとしてのステージが上がれば上がるほど、著名なカメラマンに撮って貰いたいと思うように、AスタイリストにもBスタイリストにも頼んでみたい。となるのが普通だ。
特に若いタレントは好奇心旺盛なので、スタッフの入れ替わりも激しい。あの人も試してみたい、この人も試してみたい。となりがちである。
ココでよく言われるのは、「●●をやってるあの人にお願いしてみたい」という言葉だ。
この●●に憧れているタレントやマネージャーから、声がかかる事が多い。
となると、様々なジャンルのスタイリストになりたいと思うなら、ジャンル毎の著名人をスタイリングしていると指名がかかりやすくなる。
世の人は1流に憧れるものだ。
とはいえ、一流芸能人、一流アーティスト、一流舞台役者、一流ミュージカルスターを長年やり続ける事も至難の業。もし、一流をやる機会が貴方に訪れるなら、出来る限りの精力で仕事に望んで頂きたい。
一流をやる事で、その人に引っ張られて人生が開ける人は多いのだ。
このスタッフの入れ替わりの際、外されたスタイリスト、ヘアメイク、カメラマンで、「●●さんに切られた」という言い方をする人がいる。
事実は間違っていないが、言い方が良くない。
「切られた」は「私は頑張ったのに、捨てられた。」というニュアンスが頭に残る。
それよりも
「私は卒業したんですよ。3年間楽しませて頂きました。」だったり、「今はやってないんですよ。だいぶ長くお世話になりました」だったり、「今は●●スタイリストさんが担当されているようですよ。また違った雰囲気が見れそうです。」
というような言い方にするだけで、長年お世話になった「感謝」を言葉に残す事が出来る。
それが自分の力不足だったとしても、タレント・マネージャーの気変わりだったとしても、お世話になった期間を「感謝して」暖かい気持ちで過ごす事が大事だと思っている。
そして、今お世話になっているタレントさんに集中して行きたいものだ。
「有難う。感謝してる。ついてる。」この3ワードを心に唱えながら、今日もまた撮影に行ってこよう!!
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