衣装決めの時に、①直ぐに決める人と、②話し合って決める人、③決めて貰う人の3タイプがいる。
スタイリストとしては、
①は最も楽である。そもそも似合うと思う服を持参しているので、優劣は多少あれど全てオススメ服である。
②は客観的意見や企画の情報を頭に入れて、整理して決めたいタイプだ。最善の方法は何かを模索していくタイプである。
このタイプの人は、最終的に他人の意見を採用するか、自分が着たい物(気分が上がる物)を着るかは都度変わる。
③はプロの意見を素直に受け入れ、客観的に見て自分が1番輝く物を着用するタイプだ。スタートエンターテイメント出身の方や、唐沢寿明さんはこのタイプである。
大前提として、③のケースを除き、スタイリストがタレントさんの服を決める事はない。なぜなら、スタイリストは下請け業者だからである。
1番に意見を言うのは、当然お金を支払うクライアント、つまり、おおかたマネージャーやタレントである。そこに決定権がある。
ここに対して納得いかないスタイリストは、実力をつけて発言権を得れるランクまで、登っていかないといけない。

「頭の中にイメージしたコーディネートを着たい」という想いが強いの構わないが、自分が納得いくまでコーディネートの追加を、お願いするタレントさんは正直どうかと思う。
これが毎回となると、我々スタイリストも疲弊してしまう。
そもそも様々な条件(展示会で貸せない。その人では貸せない。その媒体では貸せない。等)をかいくぐって、集めた服だ。時間と予算を考えながら利鞘を取れるように調整して持っていっている。
そこに配慮もなく、コレじゃないアレじゃないを言われるとダメージはでかい。
「お金を払っているから当然。プロなんだからちゃんと良い服持ってきてよ」と思われているかもしれない。しかし、
例えば、貴方が飲食店に行って店員さんに「水早く出せ」「味が納得行かない」などと物申すだろうか。しないだろう。
デートで男性が飲食店の店員に横暴を吐くと、女性から嫌われるように、あまりにもわがままを言われると、我々スタイリストも同様に嫌気が指す。
飲食店の店員さんには優しいのに、事 衣装の事になると猛烈なこだわりを示す人もいる事はいる。。。見栄えを強烈に気にしているのだろう、、、。

上記から分かるように、クライアントのタイプは様々だ。持って行ったコーディネートに対し、毎回褒めてくださる人もいれば、毎回お叱りを受ける事もある。
お叱りもスタイリストの自己成長としては大事な事。しかし、お叱りもエスカレートして「理不尽」まで行くと熱意は失われていくものだ。
例えば、津野事務所卒業のスタイリストは、日本を代表する有名グループのレギュラースタイリストをやっていたが、「どれだけ沢山のお金を貰えても、理不尽な対応は許せない!!」と憤慨して、レギュラーを断ってしまった。
我々スタイリストは スタートから「ダサい服、納得されない服」を持っていこうなんて、サラサラ思ってない。ただ、どうしても予算と時間が合わずに、思うものが集まらない場合もある。
時間ギリギリまで頑張ろうとするが、それでもダメだった時は、どうか暖かく見守って欲しい。
結論、意志が強すぎる人は弊害が生まれやすいと言う事だ。。。
役に関しても、「作品は監督のもの」と割り切って演出はお任せする俳優と、割り切れず 監督に対して意見をズバズバ伝える俳優もいる。
プロとして意気込みは素晴らしいと思うが、共に仕事する仲間としては幾分厄介である。
何事もバランスが大事だと思うのである。

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