スタイリストとして上手くいくための戦略

プロフィール

スタイリストに成り立ての頃を思い出す。目指すは日本一。一大財産を気付いて、買いたい物は何でも買える無双状態を目指した。マネージャー時代に見たスタイリスト達はそれだけキラキラ輝いていた。

著名人に囲まれ1人の人間として認められ、自分でスケジュールを決めて生きていく。

「●●会社の津野さん」と呼ばれていた事が気に食わなかった。「会社の看板が外れればタダの津野さん、、、」なんとまぁ惨めなもんだ、、、と勝手に悲観して20代前半を過ごした。

アシスタント時代はスタイリストよりも長時間働いて、何100万円もの売上に貢献しているのに、名前すら表にでない。

撮影スケジュールにはタレント名と、スタイリスト名が横並びで書かれている事を尻目に、「こんなクソみたいな奴隷生活、とっととやり遂げて、いち早く抜けだしてやる!!」と意気込んでいた。

デビューしてからは、マネージャーさんが主催するマスコミ業界の飲み会に沢山参加した。現在、森香澄さんのマネージャーを務める方も、その時にお世話になった。ホリプロの泉くんという方もよく主催しており都度参加した。しかし、仲良くなるのはマネージャー、メイク、カメラマンだけ。スタイリストとは友達になる事を避け続けた。理由は営業し辛くなるからだ。

世の中の売れてるタレントは、「全員スタイリングする」と決めていたので、同業者の友達は邪魔でしかない。

足繁く営業にいったら、友達が担当していた、、、なんて事になると、それ以上プッシュ出来なくなる。。。そのリスクを避けて、一匹狼でやってきた。

更に、現場のチーフマネージャーより上の立場の人との接触は、時間の無駄になる可能性が高い為避けた。

ある戦略家のメイクさんは、芸能プロダクションの社長、役員クラスに営業していたが、そこと知り合ったところで、スタイリストが欲しい仕事を渡せるわけではない。。。本来チーフマネージャーがやるべきレベルの仕事を役員クラスはやらないのだ。

役員クラスは、細々したバラエティ番組や取材よりも、「看板女優を次のドラマの何番手に差し込むか、、、」とか、「大手の広告を取るために、キャスティング会社の偉いさんと会食する」など、より大きい案件に時間を使っていて忙しいのだ。

逆に入り立ての新人マネージャーは、ほぼ運転手なので仕事を渡せない、、、よって順番的には

①チーフマネージャー(30代〜40代)

②現場マネージャー(3年後を見越して)

③役員、メイクさん、カメラマンさん

の順番で知り合いを増やす。この辺はマネージャー時代に培った経験によるものだ。

ちなみに、メイク、カメラマンからも紹介で仕事は広がるので、知っていて損はない。

1回の飲み会で知り合える数も限りがある。席を選べるのならば、上記の順番で隣の席を確保しよう。飲み会は、初めについた席でほぼ取れ高が決まる。席替えはほぼ無いので大事な選択である。

ただ、飲み会で仕事が増える可能性は低い、、、理由は、既にお決まりのスタイリストがいる可能性の方が高いからだ。。。よって、全く仕事が無ければ何処にでも顔を出す必要があるが、

現場で誠実に仕事をした上で、紹介を狙う方が新規を取れる可能性は高い。仕事が仕事を生むという事である。津野は年間に900本近い撮影があるが、飲み会で増やした仕事はほぼ無い。

徐々に仕事が増える中で、同日撮影も増えた。メイクさんは被ると断ざるを得ないが、スタイリストは服さえあれば何とかなる。アシスタント不在で1人でやりくりしている時でも、案件が被っても断る事はしなかった。

マネージャーさんには別のスタイリスト発注のタイムアップギリギリ まで待って貰って、その間に助っ人を呼んで現場をお任せしたり、「衣装決めだけしたら、抜けさせて下さい。」とお願いしたり、様々な方法で出来る限り断らない人を演じた。

まず、ご連絡頂いたことを最大限感謝し、本気で何とか受けようとする姿勢は、相手の心を打つのである。

あの手この手で、時間が被っても必ず受ける。すると、そのうち「津野さんに電話すれば形にしてくれる!」というイメージがつくものである。

その安定感、安心感を固定化させるのに10年使った。今はアシスタント4名、独立者7名がいる為 助っ人は盤石だが、それでも足りない時は前日フィッティング→衣装渡し で繋いでいる。

依頼に対しては、即YES。意地でも期待に応えるのである。依頼が重なり過ぎて1日に10現場以上重なる事もあるが、それでもクライアントが困っていたらなんとかする。その一貫性が地盤を固めた。

まとめると、

攻める場所を限定して狙い撃ち、無駄な営業はしない。仕事が仕事を呼ぶ様に、1現場1現場に命をかけて盛り上げる。そして、依頼に対しては相手が根を上げるまで寄り添う

これである。

地味に何年も続けていると、必ず勝利の女神が微笑む時がくる。その時を忍耐強く待つのである。

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