ギャラでバトルした。舞台挨拶の仕事でA社のマネージャーさんから提示されたギャラが3万円だった。請求先は東宝。ぶっちゃげ東宝とは、15年仕事をしているので、この数字が安過ぎることくらい分かる。
東宝の担当者の名前が書いてあったので、クレームの電話を入れようと思って、A社のマネージャーさんに確認した。すると「電話は やめて下さい。A社と東宝で決めた請求額なので、、、」と言われた。おいおいふざけんな!
よくある話である。
スタイリストのギャラを、芸能プロダクションと取引先で決めるというあってはならない行為である。
舞台挨拶は安くても5万円高ければ18万円取れる。理由は衣装代が高くつくからだ。キラキラのジャケット、高級なロングドレスなどを借りようとするとそれなりにお金がかかる。3万円なんてすぐ飛ぶ。ドレス以外にも靴代やアクセ代を入れると5万円でも軽く飛ぶ。
更には1体用意すれば良いわけではない。共演者との色被りを考えて複数コーディネートを用意し、映画宣伝会社からくる指定(・赤を取り入れて下さい。・ネクタイは必ず着用でetc…)を取り入れないといけない。。。
今回もそれなりにしっかりしたスーツを指定され、デカい会場で開催された。この世界に長年いると、会場のサイズを見るだけでも、予算なんてある程度分かってしまう。。。なのに、3万円。
スタイリストはタダ働きしろ。と言われている様なものである。

下請けはコレが辛い。仕事を振ってくれたA社が支払うのなら100歩譲って仕方がない。年間に何本もお仕事を振ってくれて、世話になっているので、たまのタダ働きくらいは我慢する。しかし、今回はそうではない。
スタイリストのギャラを、スタイリストに無断で2社が決めている。我々スタイリストは芸能プロダクションの子会社ではない。独立した法人。つまり、芸能プロダクションA社は間に入ってはいけないのだ。
コレを、わからないマネージャーはスタイリストのギャラを勝手にきめて、取引先に伝えてしまう。
先日もイベントのギャラに対して、「津野さん10万円請求出来るようにしておいたんで、10で請求して下さい。」と勝ち誇ったように言われたが、足りてない、、、。そのマネージャーさんは、普段テレビを3万円でやっているから、「今回はボーナスですよ!!」くらいのつもりだったのだが、津野はイベントは15万〜25万のレンジだ。
知識不足とは怖いものである。結局スタイリストの事はスタイリストにしかわからないのだから、マネージャーは「請求先とスタイリストを繋いでくれたらそれで終わり。」で良い。あとは我々でやらせてくれと心から思っている。

心理学者アルフレッドアドラーは、著者「嫌われる勇気」の中で 人間関係で最も大事な事は、「相手の課題に入らないこと」解いた。
親が子供のやりたい事を邪魔するのも同じである。どの親も「ゲームばかりするな!!」と声を揃えて怒り、子供と険悪な関係になっているが、津野は真逆である。
「没頭出来るコンテンツがあるなら、寝る間を惜しんでやれ!」と言っている。お陰でうちの息子の誕生日プレゼントはゲームの課金である。
でもそれでいい。没頭がどれだけ大事なことか大人になったら分かるだろう。「やりたい事がない、、、」なんて腑抜けた人間になって欲しくないのである。
結論、
第三者が絡んでくると面倒なことだらけだ。今回これで3万円で受けてしまうと、「津野さんは舞台挨拶を3万でやる人」と東宝のデータベースにデジタルタトゥーとして残ってしまう。
この下請けの辛さが痛いほど分かるので、いつか必ず仕事を振る側の人間に成り上がりたいと思うのである。

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