事務所に所属するスタイリストの葛藤

プロフィール

ある大きなスタイリスト集団がバラバラになりつつある。その会社所属のスタイリストで、男性芸能人を非常に多く担当している。

昨日その中にいて、辞めた人と話した。

理由は「所属者からのお金の取り過ぎ」である。スタイリスト業の撮影後のお金の貰い方は2通り。

グロス清算(スタイリスト料+衣装費)

仕分け清算(スタイリスト料と衣装費を分けて、別の請求書で清算)

グロス清算だと衣装費を安く押さえれば、多くのギャラを手に入れる事が出来るわけだ。

逆に仕分け清算だと、どうせ衣装費はクライアントが払ってくれる為、

お金よりもクオリティを意識して、良い服を高額で集めようと考えるスタイリストもいる。

議題の会社の問題点は、

上記 仕分け清算の「衣装費部分」にも会社へのマージンがかかる。となった所にある。。。

クライアントから支払われる衣装費では、集めた衣装の全額が払えないとなるのは、

誰が聞いても、まずい状況である。

 

この方針により、これ以上お金を取られたらやっていけないとなった面々が離脱をし始めた。

基本的には事務所のマージンは安くて売上の15%

1番多いのは20%   保険までいれてあげて、40%という会社もあったが、ほぼ全員が離れていった。

(※ウチには1人だけ社員がいたが、10%にしていた。。。)

スタイリストは売れっ子になると月に100万〜200万稼ぐ。その20%となると、結構な額が事務所に入る。

しかし、事務所としてはマージンを取らないと

・請求書を出してくれる社員の給料、

・事務所の家賃

社労士、税理士への報酬 

などが払えない為 仕方がない。

更にコロナなどの非常事態に備えて 多少のお金の備蓄は必要となる為 これもまた仕方ないことなのだ。

会社の運営をやっていると、この辺りがわかる。しかし、残念ながらフリーランスには理解出来ない部分も多い。

コレにより、「今まで取られていたマージンより多く取られるなら辞める」という決断に至る事も仕方あるまい。

どうやら議題の事務所は、衣装代を先行投資で払えない新人スタイリストに対して事務所側が仮払いを出してくれていた

事務所に借りれば、手元に多額の衣装費がなくとも数ヶ月後の入金まで食い繋げる。

それを旨みとしていたようだが、所属スタイリストは実績を積み、自分で全てお金を工面出来るようになっていた。

そのタイミングでの、マージンアップの命令に腹を抱えたようだ。

人は欲深い。ちょっと気が緩むと必要以上に多くのマージンを取ろうとしてしまう。

しかし、欲深さを出すと人は離れていく。

・仲の良い女優は、会社からの報酬の少なさに嫌気がさして辞めて行った。

・仲良しスタイリストが社長の会社は、マージンを取り過ぎて、あっという間に解散に至った

・上記の議題の事務所もこのままだと人は離れるだろう

弊社は、元アシスタントとの良い人間関係がお金の問題で消えて無くならないように、今期から所属スタイリストを抱える事を辞めた。

独立したら、皆バラバラを推奨している。 困った事があったら都度相談しに来なさいというスタイルだ。

お陰様で、今でも卒業生と非常に仲良い関係を続けている。

お金は時に人同士をバラバラに解体してしまう

自分で会社を起こして、所属者を募るなら所属者にも旨みがあるような絶妙なラインで契約を締結しないといけない。

津野は所属という概念を捨てて、自分1人で会社を起こす事をオススメしている。

「一度全部自分でやってみろ!そうする事で世の中の社長の気持ちが分かるから。」

それが1番勉強になるのだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました