ファッション誌の編集者とご飯に行った。
待ち合わせは汐留でランチ。
長い間お世話になった方なので,30分前には辺りの飲食店を一軒一軒見て周り、静かで景色の良いところを予約した。
20代〜32歳まで、究極にお金の無い頃は,和民、バーミヤン、ジョナサン、サイゼリヤ そこしか視界に無かったが、その苦行も超え、静かでゆっくりした周りに人が居ない店を選んで食事するようになった。
大人向けのファッション誌とは対象的に、若い子向けのファッション誌は時代の流れと共にドンドン無くなっていき,今や数えれる程少なくなった。
「編集長は自分の代で雑誌を終わらせないようにと」必死で数字を追い、存続に命をかけているようだ。
基本的にファッション誌は広告で成り立っている。
正確には成り立っていた。。。
GUCCI、LV、ビームスなどが1ページ100万〜200万でページを買取り、そこで自社商品を宣伝する。
未だにハイエンドのSPURや、Vogue、サファリなどは広告が入っているが、若い子向けのファッション誌には一切入っていないようだ。
グラビア雑誌のように、各タレントのファン層が推し活で雑誌を買わない限り、予算が作れない。
ファッション誌の中には、タレントが複数のページを飾るものもあるが、基本的にはタレントよりもモデルを起用する方がギャラ(予算)は安く済むので、モデルメインとなる。
すると、
「どうやって?お金をあつめて雑誌を作るの?」と思うだろう。
どうやらその答えは「メイク広告」らしい。
ファッション界は服が売れないから、お金がなく広告を入れれない。
しかし、コスメ業界はお金を持っているようだ。
「女性誌のメイク系広告ページで予算をかさ増しする事は理解できるが、メンズ誌では厳しいのではないか、、、」と思ったが、
男もメイクの時代が来たので、広告が入る様子。
これには驚いた。。。確かにネイルしてる若手の俳優もいる。そういうジェンダーレスの時代へ突入した。
服もメンズ誌のモデルがバンバンレディース服を着て誌面を飾っているようだ。
津野はstylistを初めて数年はファッション誌にドップリ浸って仕事していたので、企画の打ち合わせの時に編集者から
「広告を入れたブランドを中心に借りて下さいね。必ずベイクルーズは借りる様に」と
仰せつかっていた。ガチの忖度である。
テレビも同じだ。日本は資本主義。
金を入れてくれる企業が,1番偉い。
忖度なしの、公平な世界なんて理想でしか無かった。よって、
編集部がガチガチの「広告リスト」を紙にして渡してきたもんだ。
当然、我々スタイリストは広告費が多い順にアポイントをかけていく。
「ファッション誌は流行を発信する雑誌」なんて、良くいったもので
実際は「広告塔を奉る(たてまつる)カタログ誌」だった。
そんな大人の世界を知らない若き日の津野くんは、「お金持ちのブランドの下請け」のように、街をかけずり回った。
今思えば、良い駒だったのかもしれない。
現在も広告で作られてるファッション誌の多くはこの状態が作られている、特に40代以降のファッション誌はそうだろう。
ただ、若手の雑誌は今やそうではない。
メイク系がメインの広告塔である以上、スタイリストは各ブランドに忖度せず、自由に好きなブランドを借りてコーディネートを作れる。
ファッション誌自体の数は劇的に減ったが、本当の意味で流行を発信出来るのは、今の時代なのかもしれない。
こうして時代の波と共に、その時代を牽引(けんいん)したコンテンツは消え失せていく。
ファッション誌が劇的に無くなったのも、たったココ10年の話だ。
今あるWEBメディアも,また違う何かにとって変わるかもしれない。
ファッション誌では量産された「モデル」という職業も,時代と共に活躍の場が無くなったいき、
今や生成AIによって その座を奪われようとしている。下記が最近話題となった伊藤園のお茶のCMの生成AIのモデルだ。
彼女は絶対に不倫もしないし、犯罪も犯さない。企業にとっては非常に安心な広告塔となる。
人間のアナウンサーが、「言葉を間違えない生成AI」に取って代わるのも時間の問題だろう。しかも、そのAIにしっかりとファンが付く時代もくるし、それをマネージメントするプロダクションも存在する。変わらず経済が回る。
この流れに伴って 我々スタイリストも、生身の人間を使ったAI用撮影が増えてきた。
モデルを着せ替え人形の様に体だけ借りて、服を着せ変えて行くスタイリングだ。
こうなってくると顔が綺麗でなくても,体が細ければ成り立つモデルが増えてくる。新しい仕事の誕生である。
我々スタイリストは、次にどこに目を向けて仕事をすれば良いか
それは芸能人なのか、AIなのか、TikTokなのか、、、それをいち早くキャッチして早期のうちにポジションを取る力が必要となる。
次の時代の第一人者になれる様に、日々世界の動向に目を光らせておこう。
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