リース屋で知人のスタイリストに会った。
「津野くんさぁ、TVって3万円で請求してる?世の中インフレで物価が上がってんのに、TVのスタイリング3万って辛くない?」と言われた。
メンズメインのスタイリストがコレを口に出すのは、無理もない。メンズはレディースに比べて何倍も借りれない。
3万円以内に押さえる1つの方法としては、
自分でリース料を払ってJKだけでも借りる。インナーと、パンツ、靴は私物で合わせてコーデを作る。
JKは、どんなに安くても3500円はかかる。これを3点借りると10,500円だ。すると、その時点で手取りが2万円を割る。リース、返却やテレビ局までの交通費を考えると手残り1.5万くらいになる。しかし、赤にはならない。プロとして力を発揮してこの額は辛いだろう。。。
何故メンズは貸してくれないか、、、。
要因は2つ。
1つ目は
メンズ服のPRESSルームは、今だにファッション媒体をメインで貸し出しを行っており、TVやイベントでのインスタグラム対応貸し出し(タレントさんのアカウントでタグ付けして貰う方法)を行っていないからだ。
2つ目は
インスタ対応を行っていたとしても、男性タレント側でインスタでタグ付けしてくれる人は少ない。
理由は下記だ。
・そもそも男性タレントは女性タレントに比べて、インスタ稼動人口が少ないし、若手以外はインスタ自体をやっていない人も多い。
・更新頻度が低いため、いきなり服のタグを出すと悪目立ちするので出したくない。
今やフォロワー数が広告の起用に不可欠なのだから、広告を目標におく全ての芸能人が、インスタをマストにして欲しいものだ。
TVのスタイリング料3万円が安い件に関しては、どうする事も出来ないだろう。まず大元のTV局が昔ほど広告が入らない時点で、末端にいる我々スタイリストの価格を上げる事は不可能だ。
津野が局側だったら、むしろ安くする。方法としては、
ゲスト枠のタレントの中には、ギャラ無しでも出たい人はいる。出演を許可するから自分でメイクと服を整えてくれと伝える。
その辺からコストカットを計ると思う。なので、事務所と繋がっているとはいえ、それを手札に価格を釣り上げる事は不可能である。
昔、津野も「ブランディングだー」とかいって、調子に乗って、ゴールデンタイムの全てのプロデューサーに5万で提示した事がある。
数ヶ月後 芸能事務所から津野宛にクレームが入った。
「スタイリスト津野さんに5万は払えない、3万なら払うと伝えてくれ。それでも5万というなら、スタイリストを変更してくれ」と。
事務所さんは、津野を使ったばっかりに怒られたわけだ。当時天下のTV局様に、、、である。コレを機にTVの価格交渉はやめた。
下請けが地位確立を目指して奔走した所で、潰されるだけだと理解できた。世の中、結局はプラットフォーム側が勝つ事になっている。
YouTubeでどんなに収益を上げようが、その何倍もGoogleは儲かるように、プラットフォーム側にならない限り裕福にはなれない。
CMだって、1体スタイリングするだけで50万くらい貰えるが、クライアントや、広告代理店はその何10倍も稼ぐわけだ。
入金に関して、天井を突き抜ける為には 仕事を振る側に回るしかない。そこに気付いて津野は「洋服ブランドIMMZ」と「お貸しや」をスタートしたが、まだまだ道のりは長い。先行投資の段階だ。
スタイリストが死ぬ程頑張ったとて、年商1億円が良いところ。それを超える存在になりたいなら、違うゲームを並行して進めないといけないことを知っておいて欲しい。
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