「尊敬する人は誰ですか?」
よく聞かれる質問だろう。大抵の人は両親をあげる。勿論、津野も両親の事は大いに尊敬しているが、家族以外で名前をあげるとしたら、皆さんは誰の名前をあげるだろうか?津野はヘアメイクの竜司さんだ。
遡る事20年前、米倉さんの現場マネージャーをしている頃、メンターのヘアメイク中嶋竜司さんに出会った。
師匠の中川原さんの旧友で、Mr.ハイファッションというゴリゴリのモード誌を、師匠と一緒にやっていた方だ。
竜司さんは若かりし頃、料理人になるため単身で渡仏し、フランスで料理の修行中に、向こうで活躍するヘアメイクmasatoさんと出会いこの世界に入ってきた方だ。
日本に帰国されてからも、航空会社エールフランスの広告などを手がけ、当時はサッカー中田英寿さん、ゴルフ石川遼さん、木村拓哉さん、米倉さん、椎名桔平さん、海外セレブのジェイドジャガーさんなどを担当されていたスーパーヘアメイクさんだった。
自分のサロンも手がけ、フランス語、英語、を巧みに使いこなし、身体もガチムチ。プロレスラー並のサイズ感。ゴルフはプロ並みでドライバーは400ヤード飛ばす。
アシスタントさんの教育が凄まじく、過去出会ったヘアメイクのアシスタントの中でも 竜司さんのお弟子さんが1番気が利いた。
機動力が半端なく、マネージャーとしての仕事までドンドンとられて、悔しかった事を覚えている。
どうやったらあそこまで動けるアシスタントを作れるのか、いま取材できるモノなら.取材したい。
竜司さんは当時の津野からすると、何もかも手に入れた大物中の大物だった。
サッカーチーム、フィオレンティーナに在籍中の中田英寿さん&チームメイトと一緒に、西麻布の権八でご飯をご一緒させて頂いたことは、今でも鮮明に記憶に残っている。
よく「若いうちに、一流を見るべきだ。」と言われないだろうか。「どれだけ凄い人に会ってきたかが貴方の財産だ!」なんてことをよく言われる。
竜司さんは まさにその1人だった。
彼のコミュニケーションの技術は飛び抜けたものをもっていた。この業界でコミュニケーションに関して圧巻なのは、竜司さんとstylistの九さんくらいだ。
竜司さんと一緒に行ったタイの広告撮影で、飛行機に乗ってから降りるまでの間に、見知らぬタイのCAさんと恋人のように仲良くなっていた。まさにワールドクラスの能力だろう。
こういう人に会うと、自分の至らなさを存分に味わう。生きてきた人生が違うと言うか、積んでるエンジンが違うと言うか、なんか新種の人間をみた感覚に追い込まれる。
それでいて下っ端の津野でも、からかえる人間性を持っていた。
竜司さんの持つトークポジションをみて、
「あえて人に負ける」という技術を教えて貰った。世の中にはマウントを取りたがる人も沢山いるが、
距離感が上手な人ほど、自分から下に行こうとする。伝わるだろうか?
年下でも、ヤジったり、からかったりする隙間を与えてくれると言う事だ。
身近な人で例えたら千鳥大悟さんに からかわれる松本人志さんだろう。
こうやって老若男女問わず自分の虜にしてきたんだろうな。。。凄いな。。。と思っていた。
当時の津野は、上記のような人間性・経済力・名声に巨大な尊敬と憧れを抱いて、スタイリストになろうと心に決めた。この人みたいになりたい!自分もここまで行けるだろうか、、、。そう思ったのが25歳の頃だった。
憧れは、人の人生を大きく突き動かす。皆様が、そのような人に早く出会えることを願っている。 我々 現役stylistも若手から憧れられるように振る舞っていく必要があるだろう。
あの血気盛んな若い時代に そういう人に出会えたのは本当にラッキーだ。米倉さんのおかげだろう。
今や竜司さんに会えるのは4年に1回くらい。前回はTMCというスタジオでばったり会って写真を撮らせて頂いた。
竜司さんのステージに上がるのに、後何年かかるだろう。その頃には竜司さんも見えない位置まで登っているかもしれない。
このブログが本人まで届く事を信じて、一言御礼を言っておきたい。
「有難うございました。竜司さんのおかげでstylistになれました。同じチームに入る事が津野の夢です。」
ではまた、どこかで。
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