基本的に、若い売り出し中の俳優、女優、アイドルに関しては、複数のスタイリストが関わる事が多い。
事務所指定のスタイリスト、雑誌指定のスタイリスト、監督指名のスタイリストなどなど、、、。
役者さんも名前が売れてくると、事務所さんは、「雑誌も広告も津野さんでお願いします」と指定しやすくなるが、
まだまだ若いうちは、事務所も「絶対このスタイリストじゃないと嫌だ」とは言い辛いもので、
雑誌や広告の監督から、「スタイリストは事務所指定ではなく、うちの指定で」と言われたりする。
つまり、我々は他スタイリストがスタイリングした服も見れるという事だ。
津野は比較的に顔が濃い人をスタイリングし続けてきた。
今回、顔が薄い若手のスタイリングをした後、他スタイリストの服を見てハッとした。
「ウチよりオシャレに着せている、、、」いつになっても、勉強は怠ってはいけないもので、20年この世界にいても発見だらけだ。。。
顔が薄いと重ね着を多めにしないと、衣装としては成り立たない事がある。
Fine boysという大学生向けのファッション誌をやっていた12年前は、重ね着しまくっていたのに、いつしか顔が濃い芸能人の顧客が多くなって、忘れていた。。。コーディネートも英語と同じで、触れていないと忘れていくものである。
例えば、顔の濃い名優だと[スーツ➕シャツ]で成り立つものが、顔の薄い新人だと 間にベストを入れたり、チーフを入れたりアクセサリーをプラスしないと、「わっ!スターだ」とならない。
スターとは、非日常。よって非日常な服を着ていないと一般人に見られてしまう。
特に今は夏場。夏はメンズはTシャツ+短パン、レディースはワンピース1枚が主流となる。その為、黒縁メガネをいれて顔のパーツを引き締めたり、アクセサリーを多めにつけたりして、小物の量を増やさないと普通になってしまう。

この様に毎コーデ失敗と反省を繰り返し、津野は知見を溜めていっている。
フィッティング中に
・タレントさんが初見でどういう反応をしたか、
・何がNGだったか
・他スタイリストの作品と比べて自分のコーデはどうか
と、トライとエラーを繰り返して、15年が経過した。真剣に思考して蓄積したデータは、紛れもなくスタイリストとしての財産である。
逆に、真剣に考えないデータは、タダのゴミデータである。
アシスタントになる人達は、まずどの業務も「上司任せ」「会社任せ」ではなく、自分の頭のフィルターを潜らせて、真剣に考えることから始めてみよう。
更に、津野は毎回「今回が最後のスタイリングになるかも知れない」という「危機感」をもって仕事に取り組んでいる。
もしかしたら、今回のスタイリングを他スタイリストと比較した時に、「津野さんの方はダサい」と判断されたかも知れない。
済んだことを悔やんでも仕方がないが また次の依頼を頂けた時には、撮影後に見ても納得いく仕上がりになる様 時間をかけてコーディネートに取り組んで行こう。
より顔のパーツやタレントパワーを考えた、スタイリングを心がけ、重ね着し過ぎず・程よいオシャレ感を提供できる様 努めよう。

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