引くと世界がみえる

プロフィール

車で急いでいる人は、前の車との距離をつめる。しばらく走ると、右のレーンの方が速いと気付きスライドしようとする。

スライドしようと思った頃には、赤信号で止まり、前の車に詰めすぎて曲がれない。結果、後続車にドンドン抜かれる。そういう経験をした事はないか。

また、背の高いトラックの後ろで車間距離を詰めて、走っていると曲がり角を曲がりそびれる。あるいは追突する。

焦りで気持ちが前に向くと、結果的に遅くなるという典型的な例である。

車間をとった方が、200m先まで見通せて車線変更も楽々。追突もしない。速い。

焦っている時ほど感情を一定に保ち、引いて世の中を見る事が大事である。

先日仕事の発注書を引いて見れなかった事で、衣装合わせで失敗をした。それは、アパレルブランドのタイアップ撮影だった。

①白いTシャツと②白いインナーのタイアップで、其々に条件が出された。

①Tシャツを見えるように着用する

②インナーなので見えなくて良いけど、着用はする

これに対して、長年の経験が邪魔をした。「タイアップなのだから、見せないといけない!!」と読み間違えた。

過去数々のタイアップの撮影を行ってきた。タイアップとは広告なわけで、広告主をコーディネートで勝たせないといけない。

当然だが広告主は、莫大な制作費(タレント、我々のギャラも全て)を払うわけで、その見返りとしてスタイリストは、対象の商品を全面に立ててスタイリングを組まないといけない。

例えば、津野が過去にやったABCマートのタイアップでは、靴を目立たせるようなスタイリングを組む。

赤の靴なら、服には赤を入れずモノトーンにして靴の存在感を浮き立たせる。あるいは、反対色の寒色系にして対比をだす。

靴紐の結び方も蝶々結びの輪っかと、解く際の紐の長さを同じ長さにしたり、クロスに編み上げる方向を左右対象にしたり、見栄え良くする。

バックの会社のタイアップだと、体の後ろ側にバックが隠れないようにする。

この様に、タイアップのアイテムが全面に押し出される様にコーディネートを組む。

上記の事から、クライアントへの配慮が当たり前になってしまって、「インナーも見せなくてはいけない!」と思い込んでしまった。

思い込みとは困ったもので、過去の成功体験に引っ張られて、新しい情報を遮断する事がある。

インナーを見せる必要がないのに、見せる用のコーディネートしか現場になかった。。。視野が狭くなった証拠である。

結果としてマネージャーさんとタレントさんの工夫により、フィッティング自体は事なきを得たが、理解力に乏しいスタイリストになってしまった、、、。

案件毎に一旦引いてみる事が大事で、冷静に詳細を読んでからスタートしないと、ドンドン時間と労力が奪われていく。まず引いて見て、目的地(全体像)を都度確認する習慣を付けないといけない。

人に注意する時も同じことだ、1日引いて頭を冷やせば大した事無かったと思える。しかし、頭に来た瞬間は、非常に頭が悪い発言をしてしまう。感情的にならないことを目標にして行きたい。

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