俳優Aさんが言っていた。「2回目同じ事があったら、もう仕事はしない。」
上記は とある1週間ロケで、俳優Aと10年間ほど仲良く一緒に仕事をしたプロデューサーBが決裂しかけた話である。
Bさんは、たまたま気分が乗らなかったのか ロケ中 終始沈黙していた。俳優Aは、その空気を察して腫れ物に触るようにやり過ごした。
楽しいロケ中に、沈黙なんて 過去に1度もなかった。
そして、ロケが終わる数日間だけ機嫌が戻り 今までと同じように仲良く過ごした。
俳優Aは不機嫌な数日間が謎で、終始 頭を悩ませるロケとなった。
マネージャーさんは後日、「何か問題ありましたか?」とプロデューサーBに聞いたが、Bからは「何の事ですか?」といった返しだった。。。マネージャーさんは次第に本当に ただの気分だったのだと悟った。
人は完璧ではない。気分が良い事もあれば、悪い時もある。津野もプライベートで嫌な事があったり、仕事が上手くいかない時は、モヤモヤが表に出てしまいそうになる。
しかし、目の前にいるスタッフは 津野のモヤモヤは関係ない訳で、社会人として仕事として、毅然(きぜん)とした態度で振る舞わないといけない。それが基本だと思うが、人間はそう簡単ではない。

過去仕事をした俳優の中でも、気まずいX dayに撮影が重なった事は沢山ある。
前日に彼氏と別れて死んだような表情で現れた女優もいるし、彼氏が警察に捕まって、気持ちの行き場を失った女優さんもいた。
毅然(きぜん)と振る舞おうと思っても、「ショックが大きすぎて 表情が崩れる」なんて事は 誰しもある事だと思う。
もしかしたら、今回のBさんはそのようなX dayだったのかもしれない。
ここで正直に我々スタッフに事情を話せれば、分かってくれたかもしれないが、「いや別に何でもないです。」と隠されると、心配した方はやるせ無くなる。
とは言っても、他人に話せない内容もあるので、一概にBが悪いとも言えない現実はある。。。
コレが知らない人同士だったら、何の感情も湧かないが、よく知っている人に謎行動を取られてしまうと、反動で関係が崩れてしまう。。。「こんなに仲良くやって来たのに、それかよ!」となるわけだ。
メトロノームと同じで、仲が良いだけ、針を逆に振られた時の衝撃が大きいのだ。
つくづく信用は壊れやすいものだと思う。

上記を思うと「マイペース」「気分屋」と分類される人は損である。しかし、立場が変わると相手に気分を合わせなくてもまかり通る事もある。例えば、リーダー・一家の主人・会社の社長などがそうである。
立場が上になった時は、最も気をつけるべき時だ。自分を叱ってくれる人が居なくなったら、それは黄色信号🚦である。
スタイリストは独立と同時に社長になる。そして。誰も貴方の事を叱らなくなる。そして、間違った方向に行く人を沢山みてきた。
・アシスタントからの連絡に返信しない人
・アシスタントを駒として扱う人
・責任を取ろうとしない人
・現場しか来ない人
などなど、、、
ここで見過ごせないのは、
スタイリストも続けて行くと、次第に仕事は年下から来る様になるということ。
そうなった時、自分が年配になる過程で、沢山の年下の味方を作った人が、仕事を受けやすくなることは、言うまでもないだろう。
例えば、スターバックスの元社長の岩田さんは、野球強豪チームの補欠でキャプテンとなった人だ。彼の様に、「補欠の気持ち」「弱い者の気持ち」が分かる人がトップに立つと、組織はうまく回り始める。いつまでも下の人の気持ちが分かる人でいたいものである。
今回の事から、我々が取れる対策としては、
何か嫌な事があっても、その気持ちを正直に打ち明けれる、開放的な人になるべきだということ。
とても話せない内容だと、今お話しする事は出来ないが、落ち着いたらお話しするかもしれない。。。なんて事でも良い。
たった1回 「謎な一面」を見せるだけで、信用は瞬く間に消えてしまう事を実感した事件であった。
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