スタイリストをやっていると、「私に似合うブランドや服の形、色を教えて欲しい」と言われる。当然一般の方は、スタイリストに聞けば“何かしらの答えが出る”と思っている。
しかし、それはぶっちゃげ無理ゲーである。。。
それが出来るのは、大人と若者のファッション雑誌を選任で長い年月やっていて、一般人が“ちょっと頑張れば着れる”位のオシャレ感のあるブランドのDATAを膨大に持っている 極々限られたスタイリストだけだ。
更に、トレンドも理解し解説も出来るくらいの知識量があれば、即答できるだろう。

津野は芸能人のスタイリングを主軸としている。芸能人の服は簡単にいえば、年に数回しかないパーティの時に周りを気にせず着用する服だ。
いわば、ハロウィン、結婚式、クラブでフィーバーする時の服である。
このドギツイ服を主軸としている人間に、「私がちょっと頑張れば手が届く、普通だけどオシャレな服」は教える事が出来ない。正確には 出来るけど、服の情報量が足らない。。。
一般の人からしたら服の知識量は豊富だが、ファッション誌のスタイリストからしたら、天と地の差がある。
彼等は毎週毎週一般人が真似できるレベルで、5ラックのコーディネートを組み、その全てのブランドの名前をWordで打ち込んでアウトプットしている。。。
それに対して、芸能のスタイリストは、わずか1ラックの服を用意して、ブランド名をアウトプットする必要もない。たった1体着せて、着た服のタグをマネージャーに渡してしまえば仕事は終了。
そんな毎日を送っている人間が、ファッション誌スタイリストの知識量に勝てるわけがない。
そもそもジャンルが全く違う。。。
津野は性格が派手な方なので、派手なスタイリングが昔から好きである。性に合っている。
だから、わざわざイベント事に特化した芸能スタイリストのジャンルを選んでいる。
従って、ドラマなどで、「一般人ぽいスタイリングをして下さい」と言われても全くテンションが上がらない、、、、。
それなのに一般人からの悩み解決は、「私を少しオシャレにしてくれ」なので、困りに困るのである。
ただ、
・「ド派手にして下さい」とか、
・テーマ「パンク」で、がっつりスタイリングして下さいとか、
・「美容師の中でも奇抜なジャンルにしてください」
とかは誰にも負けないくらい得意である。

ちなみに服は むやみやたらに、自分が好きな服を相手に提案しても、相手が着てくれるわけではない。服は性格を表すので、性格を知らない限りは完璧なコーディネートは絶対に組めない。。。
男っぽいダボダボの迷彩の軍パンを履いてくる女性に対して、スナイデルは紹介できないし、
大学の教授をやっている人に、流行りのバレルレッグのパンツは紹介出来ない。。。
なので、本格的にその人に合ったコーディネートを用意するには、まず
①お客様の家に行って、ワードローブを全て拝見する
②60分一緒にお茶を飲んで、性格を読み取る
この2段階を踏んでからでないと、紹介出来ない。津野は、イベント服の専門家である。一般服の専門家ではない、、、そこを理解していない人から、即席で
「私に合ったコーディネートをして下さい。」
「私はどういう色の、どんな形の服が似合いますか?」と言われても、正直「すぐには分かりません」が解答である。これは、芸能を生業とする多くのスタイリストが同じだと思う。
分かりやすく言えば 寿司職人に、対して肉の美味しい焼き方を聞いたり、
脳外科医に歯が痛いと訴えている様なものである。
これを踏まえて、1くくりで、【スタイリスト】ではなく、イベント服専門スタイリスト、一般服専門スタイリストみたいに、枝分かれしてくれたら楽なのになぁと思っている。

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