メンズバンドのフィッティングがあった。会場に入ってきた時、私服を見たのだが4名のうち1人だけジャストサイズの私服を着ていた。しかし、その他の人は皆シルエットダボダボ。
昨今、時代のジェンダーレス化を受けて男性も、女性が着るようなワイドシルエットを好んで着用している。更にネットの普及もあって、ネットで購入してもサイズが合うように、ウエストゴム&ワイドシルエットが流行っている。
靴も数年前にバレンシアガ発売したトリプル Sを皮切りにダッドスニーカーブームが起こり、25㎝の足の人がボリュームを求めて28㎝の靴を履く時代である。

津野がスタイリングする若者達の90%がピッタリサイズのトップス、細身のパンツを持って行っても着てくれない。流行とは絶大な力をもっている。
よって、ブランド側が身長に応じて発表している「サイズ展開」を信じて服を用意してしまうと、顧客(タレント)の好みに合わないという事態が起こる。ココで効いてくるのが現場感である。日々タレントが、どんなサイズ感を好んで着ているか、、、それを注意して見ていればリサーチで困る事はない。
要は、「彼らの私服の様子を目に焼き付けて、発言の一言一句を逃さず敏感に意識して聞いとけ!」という事である。
現場感というのは意識していないと、なかなか頭に入らない。
例えば、津野はレディースをやり始めた頃、アイドル雑誌(顧客は男性)で部屋着を着せた時に、女性タレントさんがTシャツをインするのが分からなかった。
Tシャツをインすると かしこまって見えてしまうものである。
読者は部屋着で緩くTシャツをアウトしている姿が見たいのに、なぜ彼女達はわざわざ「読者が見たくもないトップスインをするのだろう、、、」と謎だった。
結論、どんな企画・どんなシチュエーションだろうと、「女性は足を長く、胴体を短く見せたいからインするのだ、、、」と悟った。
これは男で生きてきた津野には全く分からない理論である。こうして現場現場で数多くの男女の特性をみてきて、今に至る。

メンズに関してはワイド、ボックスシルエットが流行っている上に、体の線の細い人は身体を大きく見せたい願望があるため1サイズから2サイズ上のサイズを好んで着る傾向にある。
これはスタイリストとして知っておくべきスキルである。人は必ずしも洋服屋の規定サイズ通りには着ない。
ただ、年配者に多い傾向だが、細いパンツが好きな人もいる事は注意すべき点である。
レディースも同様に肩出し、腹だしを筆頭にアシンメトリーの服なども若い子は敏感に取り入れている。しかし、年配者は体のラインを隠すようなシルエット(ドルマンスリーブ、ワイドパンツ)を好む。
洋服に多感な若い時期には、その時代の流行に乗っ取った服を意識しつつ、性別、年代に合ったコーディネートを現場で意識して学んで行こう。

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