人の時間の重さ

プロフィール

時間の重みは、若い10代20代の頃には気付かない。30代40代になると、人生を考える事と、良くも悪くも各個人が年間で稼ぐ金額が変わってくる事で時間を意識する様になる。津野のお客様達は、売れっ子芸能人、若い頃から大金を稼ぐようなスターばかりだ。

彼等は上場企業の経営者に比べたら稼ぎは少ないが、一般的にはお金持ちと言われる部類に属する。

同じ時間を働いているのに、価値が違う為に収入は大きな差となってしまう。

大金を稼ぐ人は総じて、沢山の案件を詰め込まれる。理由は需要があるからだ。お金の数だけ時間を奪われる立場にいる。需要があると当然、価値は上がる。近年の東京の不動産、エルメスのばーきん、ラブブと同じ原理だ。どんどん値段が釣り上がる。

お金ばかりではない。単純に時間を取られるのが嫌いな人も沢山いる。

タレントの中でも仕事が終わったら、衣装を脱ぎながら控え室に帰る俳優も居れば、終わった後の控え室での談笑が好きな俳優もいる。人それぞれである。

我々スタイリストは仕事を頂いている側なので、どのタイプのタレントがお客様でも、時間を奪うような行為は厳禁である。よって、1体目のコーディネートから2体目のコーディネートに移る時は、直ぐに着用できる準備をしていないといけない。

具体的には、

ファンデーションが付かない為のフェイスカバーをかけておき、ベルトはベルトループに通しておき、ニットはハンガー跡が付かないようにアイロン後畳んで置いておく、靴紐は緩め、靴ベラを刺す。まぁこのようなところである。

たまに、撮影後に間違えてタレントさんの私物を持ち帰ってしまう事もあるし、忘れ物でスタジオに取りに帰る事もあるが、タレントや制作の時間を奪うので厳禁である。

「そんな大袈裟な、たかが数秒、数分遅れた所で変わらないでしょう、、、」と昔は思っていたが、せっかちなタレント、マネージャー、制作に数万人会ってきた事で、大袈裟にスピーディーにしないといけない事を学んだ。

現にテレビのスタジオに俳優さんを呼びこむ時は、出演者が50人いようが全員に「5分推しです。」なんて細かく連絡がくる。

芸能界には待たせてはいけない掟が存在するのだ。

この世界にいるのに、悪意もなく時間を奪いに来る人もいる。簡単に「飲みに行こうよ!」なんて言って来る人もそうだ。需要がある人は「飲み会」と「仕事」に対しての時間の対価を考える。

飲み会が、自己満足に繋がらないと感じると飲み会の誘いは、ただの迷惑行為となる。津野は昔から費用対効果を考えるタイプで、飲み会に関しては2時間の飲み会を1時間30分で帰る人だった。そして2次会は行かない。理由は1次会で結果(笑い、盛り上げ、学び)を残せなかったら、残りの時間はただの惰性になるからだ。そして、2次会に居なかったからと言って後でブーブー言う人なんてほぼ居ない。

そろそろ帰りたいんだけど、、、と心の中で唱えた瞬間に、その飲み会は悪い飲み会に変わる。「あと少し一緒に居たかった。」と後ろ髪を引かれる想いで帰るのが1番良い会だ。

そんなこんなで、年に1、2回どうしても飲みたい人には自分から連絡するが、レギュラーで集まるような人間は片っ端から消えていった。

忙しい人間は常に忙しい。やる事がない事日なんて年に1日もない。学生には想像できないだろうが、津野のランクでさえ仕事はずっと終わらない。現場が無くても準備や請求書の発行、ブランド事業の打ち合わせ、今後の会社の方向性の決断などで全く時間がない。

これが数100人、数1,000人を束ねる会社の社長となると更に忙しい。社会に出るとその様な人間がゴロゴロいる。その人達に一目置かれるには、短時間で結果を残し、相手の時間を奪わずメリットを残せる人間にならないといけない。

仕事相手の「拘束される時間」と、「拘束されない時間」を見極めてあげよう。拘束されない時間を拘束した時点で貴方は時間泥棒となる。

少なからず津野みたいな人間は、それなりに居る事を忘れないようにしてほしい。

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