5年程お世話になっている雑誌から、表紙撮影の依頼が来た。表紙は、その月の顔となるビジュアル。その出来栄えによっては、購買に影響が出る為 スタイリストは責任重大である。
スケジュールとは上手くハマらないもので、この週で1番入って欲しくないところに 入ってきた。
勿論先に入っている仕事を優先しないといけない為、ちょうど撮影が始まる頃に 抜けなくてはならない。申し訳ないが、抜けて戻るまでの間 アシスタント対応でお願い出来ないか打診した。
すると、編集部からアシスタントの指名が入った。「Aさんが来てくれると心強いのですが、いかがでしょうか、、、」と。
なんと卒業生である。。。一応声はかけたがスケジュール🆖だったため、ウチにも優秀なアシスタントがいるから、安心してくれ!というメッセージと共に許可を頂いた。

ふと思った。何故Aが来てくれと言われたのか、、、、と。現場での判断、動きは今の子達も変わらない。しかし、Aといわれた。
紐解いて行くと段々と見えてきた。
ココには2段の階段がある。
まず1段目は、現場の立ち回りが完璧である事。これは、現役のアシスタントもAも同じだ。彼女達は、津野が居ようがいまいが上手くやる。流れを全て把握している。逆に津野が細かい事を尋ねる感じだ。
では、Aに会って現役に無いものは何か、、、それが次である。
2段目は、自分から編集に話しかけて仲良くなろうとする事。プライベートの話をするわけではない、そもそもバタバタした忙しい現場で、長い話をしても互いに迷惑だ。
大枠は仕事の進め方の話をしながら、業務に支障がない程度に 軽く余談を入れていく感じだ。
思い返せばAは
「私はアシスタントだから出しゃばらない。」という気がサラサラない人だった。結構前に出て行く。
編集部も仕事はしっかりやる上に、直しもサクサク入れる子に話しかけられても、全く嫌な気はしない。
そしてカット毎に盛り上がるところは、一緒になって盛り上がるのだ。
側から見ると、アシスタントを通り越して、共にページを作るパートナーと化している。この感じがクライアントの信用を取るのだと思った。
アシスタントだから、控え目になる気持ちは分かる。しかし、1年〜2年やれば大体の子は現場の動きは、ほぼ完璧になる。そこからどれだけ仲良くなるかが勝負なのだと改めて思った。

つまり、卒業生のAは、今のアシスタントより深くチームに介入していたから、また呼ばれたという事。
撮影の準備をしながら、撮影を盛り上げて、着替えまで担当する事は なかなか手の込んだ作業だ。
その短い時間でも、どれだけ深く関われたかが、相手の心に刺さるか刺さらないかの差だと思った。
①ベースの立ち回りができた上で、
②能動的に人と仲良くなる事。
これが仕事を貰い続ける条件である事を改めて知り、現役のケツを叩く良い機会になった事を嬉しく思う。
コメント