映画「国宝」を見た。エンタメ業界にいても、映画の評判が自分の耳に入る事も少ない。しかし今回の国宝は、至る所で耳に入ったので見てみた。
歌舞伎で成り上がって行く人のストーリーである。
映画を通して共感した部分は、一つのことを成し遂げる為に、様々な事を犠牲にするという事。
その他にも才能の残酷さや、山があれば谷もあるという至極真っ当な意見を、真正面から突きつけられた感じだ。
津野もスタイリストになる事で、一般男性が若い頃に体験するであろう、娯楽やレジャーを全て捨ててきた。
スタイリストになってからも、日本一を目指す事で、沢山の大事な宝物を失ってきたので 共感した。
世の中には、器用に欲しいモノを全て取り込む人もいる。しかし津野は不器用だったので、仕事で大成するため、仕事以外の時間を ほぼほぼ犠牲にしてしまった。
振り返ってそれが後悔かと言われれば、そうではない。しかし、1つの事を成し遂げる為には、極端な時間配分は 必要不可欠なのだと思う。
世の大半の成功者達は、全身から血を吹き出しながら、それでも成し遂げたい夢のために、努力した経験がある。津野は22歳〜33歳がその期間だった。
その期間で何を築いたか、それは信用だ。
信用を獲得するには、準備を含めて沢山の時間がかかるものだ。「雑に頼んでも、あいつは必ず形にしてくる。」そう思われるには、何回も何回も成功体験を先方に届けなければならない。
それは買い物でも、コピーでも、資料作成でも何でもだ。頼まれ事1つとっても、想像を超える結果を残す。信用を築くにはそれが大事で。小さい約束を守れない人間は、決まって大きい約束も守れない。
その磨かれた行動で、「他人」がいつの間にか「仕事相手」になり▶️「仲間」になって行く。仲間になるには【必ず約束を守る心意気】が必要なのである。

更にこの映画が突きつけたものは、「才能の残酷さ」である。大抵の事は努力で何とかなる。「努力できる事自体が才能だ」と言う人もいる。そして、努力さえ出来れば経済的成功をおさめる事もできる。
しかし、競合の中には「努力の出来る 天才」も1%いるものだ。
津野の同期のスタイリストの中には、
「Tシャツをパンツの中にインしてベルトを見せるスタイリング」を流行らせたスタイリストもいた。今は皆やっているが、そのスタイリストが菅田将暉くんで実走したことが、流行りのキッカケだったことは間違いない。
先輩のスタイリストには、
パンツを靴の中に入れ込むブーツインを流行らせたスタイリストもいた。
最近では、シャツの中にシャツを着せるスタイリングをやる若手もいる。
上記のような、人がやらない事を1人やり始め「ブーム」を作ってしまう天才もいるという事だ。
つい最近、津野がコンペで負けてしまったスタイリストも同期だが、類稀なスタイリングで沢山のタレントをトリコにしてきたコーディネートの天才だった。
その他にも具体例を出すと、
映画出演者の合同取材で、「同じテーマで他の俳優のスタイリングを目の当たりにする」という取材もある。その際に、マザマザと目の前で、その力を見せつけられ 悔しい想いもした事もある。完敗である。

しかし、全て自分が劣っているわけではない。津野に関しては おそらく「仕事量」や、「本数」ではその人達に負けてない。
広く沢山の人にスタイリストとして認知頂いて、複数のクライアントから放射線状にお仕事を頂く手法としては自分には、分がある。
自分は1%の天才には なれないけれど、広く多くの人に使ってもらっている。そこが強みである。
ビジネスの世界は、専門的な特殊能力が突出していなくても、その他で補う事が出来る世界だ。
自分の得意な部分を磨いて、スタイリストの「認知度」のジャンルでは日本一になれるよう努力しようと思えた作品だった。
エンタメ業界の多くの人が「スタイリストの津野さんね。知ってる知ってる」となったら、津野のミッションは成功である!!
国宝!!まだ見ていない人は是非、見てみてほしい。
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