本当に着せたい服と、着てもらう服は異なる

プロフィール

仕事はお客様あってのもの。スタイリストは、タレント本人とマネージャーに刺さるものを持っていくようにしている。

ただそれが,ファンの皆様に受け入れられるかは別問題で、世間的には「何でこんな衣装に、、、」なんて言われる事もある。

衣装が万人に受け入れられる事は難しいので、せめて直接的に関わるタレント、マネージャーにさえ刺されば、、、とは思う。

ただ、純粋にスタイリスト目線でバランスを見た時に、タレント、事務所にささっているAではなく、Bの衣装が全体バランスとしては最も最適な事もある。

結局タレント、事務所が選んだ服が実際に良いコーディネートとは限らない。。。のだ。

テレビのセットの前にずらっと芸能人が並べられて座った時や、舞台挨拶で10人の役者が勢揃いした「本番でのみ」コーディネートの正解が明確なものとなる。

では何故このような事が差分が生まれるか、、、それは、控え室の狭い室内と大スクリーンの前とでは、何もかも違う事に起因する

例えば、背景の色味やスケール感がその1つだ。劇場のように被写体が遠いだと、人の顔もあまり見えないし、人間全体も豆粒に見える。そこでシンプルなダーク系の服を着てしまうと、あっという間に背景と同化して、役者は潰れて見えてしまう、、、。

スタイリストとしてはBにすべきだったのに、A衣装が事務所、タレントに刺さっているから自分の意見は隠す、、、という事もある

仕事を円滑に進めていく為には仕方ない事。プロとして我をだすと仕事のリピートが取れなくなるので、そこだけ避けていきたいのである。

今回の舞台挨拶も映えてなくて悩んだ。第1希望だった派手なロングベストが却下されて、黒ベースの柄入りのブルゾンに決まった。しかし、スクリーンの前に立つと ほぼ黒で埋まっていて どこに居るのか分からない状態。

これはいかんと、リハーサル後に派手な案を再提案したが、却下されて結局おさまりの良い黒となった。

目立たないといけないステージ上で、役者が目立たない、、、申し訳ない気持ちになった。

似たような事で、借り物の服よりも私物の服の方が可愛い事だって沢山ある。しかし、洋服屋から借りている以上、借り物を使って使用分を出さないと失礼だ。しかし、着る側にとっては、そんなの知った事ではない。可愛いに限る、、、。

その狭間で心から可愛いと思うコーディネートを着せれない事もしばしば。

フィギュアスケートの選手のように、思いっきり心から好きな演技を披露する毎日を送れると、どれだけ幸せかと思うのである。。。

誰もが葛藤の中で自分を殺しながら働いている。協調性が大事大事だとは思いながらも、思い通りに行かない日常には頭を抱える。

本当の意味で「やりたい事だけ、やって生きる」なんてのは、あと2つも3つもステージが先なのかもしれない。

推し活ブームの現代で、スタイリストをやってて思う事。それは、推しの服装すらもすごく楽しみにしているファンが沢山いると言う事だ。

津野のインスタでさえも複数名の方から。「御礼の言葉が送られる。」

「推しの〇〇のスタイリング有難うございました。最高でした。」みたいな内容である。

その方々の期待も背負っている事を真摯に受け止めて、ベストofベストのスタイリングを作りたいと思っている。

しかし、スタイリスト生命を長く伸ばす事を1丁目1番地に、日々のコーディネートを調整している事が少し申し訳ない感じはある。

着せたいものを、思う存分着せれる【衣装映えするタレントさん】の撮影がいつか来る事を願って。今日も会社を安定させる為に調整を繰り返して、喜ばせていこう。

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