機動力が仕事を生む

プロフィール

新しく担当したタレントAの収録だった。様子見の1本ではなく、いきなり2本頂いて驚いている。Aを長きに渡って担当するヘアメイクから、何故ウチに来たかの軌跡を伺った。

元々バラエティ番組のレギュラースタイリストが担当していたが、その後津野と同期のスタイリストが5年間担当した様だ。

5年となるとかなり古い、、、そんなに続く人も一握りな印象。Aの好みを知り尽くしたスタイリストが外された理由は、【アシスタントとの不仲】と、【サービス不足】だった。

スタイリストは、アシスタントとめちゃくちゃ仲が悪くAの現場で互いの文句を言い合う始末。Aはその光景を面白がってはいたものの、良い気持ちはしていない。

更に、「アシスタントが1人しかいない為、他業務で忙しく、衣装渡しの服を渡しに行けない事も多く、事務所関係者が、わざわざスタイリスト事務所に服を取りに行っていた。それが面倒くさい。」という事。

やけに津野の会社の,体制を聞いてくるなぁ、、、と思っていたが、会社の状況を聞いて【仕事を受けれるスタイリストかどうか】を見極めていた感じだった。

車3台アシスタント4人という情報を聞いて「それだったら、荷物取りに行かなくて良いかも。」と思ったっぽい。

会社の状態でスタイリストを決める事もあるのか、、、と勉強になった。手前味噌だが、現役アシスタント4名、車3台、OBスタイリスト8名というスタイリストは少ないと思うので、現場対応は大抵なんとかなる。その機動力で、取れてる仕事もそれなりにあると思う。

「津野に頼めば形になる。レスも早い。都合良い」と思ってくれたら幸いである。正直、常に6名(内動けるアシスタント3名)いるとめちゃくちゃスムーズに回るので、直近はそこを目指して頑張りたい。

時間のない中で急な案件に対応するには、手持ちの服の量が必要なわけだが、世には2通りのスタイリストがいる。

①倉庫を充実させて、スタイリスト私物(在庫)で対応するスタイリスト

②常に最新のものを提案して、リース料を払ってでもトレンドの物を持っていく人

津野の師匠はたまたま①だったから津野も真似したが、②の環境にいたら服を貯めないスタンスで走ったかもしれない。

津野がトレンド好きで、「今の物しか着せたくない」という頑固ジジイだったら、リース料に大金をはたいて旬なものを用意していただろう。しかし、津野は流行りよりも、身の回りの経済を動かす事に興味がある。

スタイリスト初年度から在庫確保に舵を切ったお陰で倉庫に何千回も救われた。さらに今はクソ高い恵比寿事務所の家賃を服が払ってくれている。コレを思うと、アシスタント時代の環境に感謝だ。

当時はファッション誌も沢山あり、ファッション誌を餌に「タレントでも貸してくれませんか?」と頭を下げて無料で借りていたスタイリストも沢山いた。津野もその1人だ。

何故頭を下げるかに関しては、当時「ファッション誌以外の媒体に貸したくない。」というプレス担当がファッション業界のほぼ全てだったからだ。つまり、ファッション誌をやっていないスタイリストは、ランク下に見られていた。

今でもその傾向は残っているが、ファッション誌が消えて媒体が細分化した事で、タレントSNSあるいは、スタイリストのSNSでも借りやすくなった。

しかし、現在の芸能界では、案件とのバランスでインスタのタグ付けがNGの俳優もおり、手持ちの衣装の量が利益を産む源泉となる。

リース料を払わずとも、ファッション誌を盾に芸能人でタダ借りしていたスタイリストは、ファッション誌の減少と世代交代に巻き込まれ、現在はリース料を支払いながら利益を縮小化して 励んでいる。

逆に初めから「リース料を払うくらいならアイテムを残したい」と買取ながらも服を貯め込んだスタイリストは、溜まった服を貸し出す事で副収入を得られる様になった。

やはり、長く続けるには流行りを追っては行けないという教訓である。

コレからも良い服と出会えば、即購入していき未来への投資をしよう。服の量が機動力を生み急用をクリアにしてくれる。

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