「スタイリストがやりたいので、インターンに来ました。」これは当たり前の動機だが、他会社では当たり前ではない。やりたい事が見つけられず、何となく会社名に引き寄せられる人。特に好きでもない会社で生活のために働く人も大勢いる。
別業態の仕事から弊社にインターンに来る人は、とりあえず就職してみたが、ただ通り過ぎる業務に心が踊らない生活に嫌気が刺して、弊社の門を叩く。
そして、希望者のほとんどは タレント好きか、服好きか、その両方かだ。
“ やりたい”が優先しているので、お金の事は後回しにする人も多い。
その中でもウチみたいな会社は、そこそこ待遇も良く、一人暮らし出来る給料を貰えるので、候補に上がりやすい。
しかし、ウチよりも待遇の悪いスタイリストの所へ行く人も大勢いる。むしろインターン生の中ではそっちの方が多い。
隣の芝は青く見えるというが、そのような考えもあるのだろう。例え弊社よりも待遇が悪くても、構わず別のスタイリストを選ぶ。つまり、スタイリストをやる人間にとって、待遇は重要ではない。元々、やりたいが先行するからスタイリストを選んだわけで、夢に向かって突っ走る人ばかり。素晴らしい事である。
津野はある社長に「100億円貰ったら何をやりたいか?」を聞かれて“スタイリスト”と答えたが、お金、待遇に縛られて人生を決めるものではない。
カブアンドの前澤社長も、最新著書「偽善者」の中で、「お金がなくてもやりたいかどうかで判断しろ!」と言っている。
過去のインターン生の中には、「家族の分まで稼がなくてはならないので、スタイリストアシスタントはやれません。」と弊社の誘いを断った人もいるが、金の問題で、どうしてもスタイリスト業をやれない人を除いては、待遇で決めない方が幸福度は高い。

昨日のメイクAさんは、幼い頃に両親が離婚して母親に引き取られ、3姉妹の末っ子として極貧生活を送った話をしてくれた。
父から養育費をもらえる環境はなく、母がアルバイトをしながら、3姉妹を育てる生活は壮絶で、姉2人は高校卒業後 直ぐに就職。どうしてもメイクになりたかったAをメイク学校に行かせる為、家族会議が開かれ、母親と姉2人で協力して末っ子をメイク学校に進学させた。
家族の想いを背負った彼女は、メキメキと力をつけて、表参道でサロンを開くまでになり、有名編集者、マネージャー、タレントに愛され 今は、2人の息子を持つリッチなママになった。息子さんはインターナショナルスクールに行かせている。
メイクで言えば、インフルエンサーの小田切ヒロさんも似た様な境遇だ。この様に、どんなに貧しくてもやりたい事を貫いた人間は強い。ただ何となく仕事を始めた人間とは、想いの強さが違う。辛いから、稼げないからでは倒れない“強靭な精神力”を幼少期から身につけていた。

我々は、この様な強い人間の中で揉まれ、残っていかねばならない。弊社の独立したアシスタント達も各々が強靭な精神力の持ち主だった。
どんなに文句を言われようが、怒鳴られようが、貧しかろうが毎日出社し、最後までやり遂げて独立していく。
キッカケは「何となく」でもいいが、仕事を覚えるウチにのめり込んで、没頭する力が肝になる。津野もサラリーマン時代は、メイク、カメラマンと迷ったくらいなので、何となく決めた。
しかし、実際にアシスタント生活が始まる頃には「お金を貰えなくても絶対最後までやる!!」とのめり込んだ。そして、成功体験が積み上がる過程で「日本一になる」という夢も芽生え始めた。
ちなみに、ウチの娘は「スタイリストになりたいと」と言っている。ただぼんやりとではあるが、父の背中を見ている。彼女は「今日好き!」というAbemaの恋愛リアリティ番組が世界一好きな番組で、放送時間数分前から、テレビの前で待機する人間だ。
その中に出てくる出演者を6名スタイリングした。その度に娘に報告するので、「なんと素敵な職業だ!!」と思っているに違いない。いつしか仕事で尊敬して貰える様になった事も、お金には変えられないやりがいである。貴方も親となった時に、子供の好きなタレントをスタイリングする時が来るかもしれない。
お金を考えない世界が早く来れば、皆幸せになれる。やりたいを突き詰めた人間は残る。「保険なき人生に幸あれ!!」

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